『食の豆々知識』 Vol.14 酢

夏ですね~。暑くなってきましたね~。だからという訳でもないのですが、今回は、食欲増進、疲労回復をする「酢」のお話。

まず、酢の分類からお話しましょう。

酢には、「醸造酢」と「合成酢」があります。簡単に言えば、「醸造酢」は、穀物、果実、アルコールなどを発酵させてつくったもの。「合成酢」は、氷酢酸を水で薄めたものに醸造酢を加えたもの。ちなみに、合成酢は味を補うため、食品添加物がいろいろと入っていますが、「酢」と呼ばれるものには合成保存料、合成添加物は加えてはいけないことになっています(JAS規定)。
醸造酢は、非常に多くの有機酸とアミノ酸を含んでいるため、まろやかな味と香りを持ち、薄めても酸味が消えないのが特徴です。合成酢は、つんとした刺激臭があり、醸造酢と比べるとこくやまろやかさにかけます。この2種の違いは、次回お話する酢の働きにも表れてきます。

「醸造酢」の中には「穀物酢」と「果実酢」があります。「穀物酢」は、米、とうもろこし、小麦などの穀物原料の使用量が、酢1Lあたり40g以上、「果実酢」は、果汁原料の使用量が、酢1Lあたり300g以上のものとされ、穀物、果汁を原料としていてもこれらの条件にあわないものを単に「醸造酢」と呼びます。
よく耳にする「米酢」は、穀物酢のひとつで、酢1Lあたり米の使用量が40gを超えるもののことを呼び、中でも米だけを使用し、醸造用アルコールを含まないものを「純米酢」と呼びます。独特のこくとまろやかさが特徴で、酢の味がそのまま料理となったり、米を使用している料理に合うとされ、日本料理店や、寿司店などで使用されています。好みもありますが、「千鳥酢」(村山造酢㈱)や純米酢金封(㈱ナカノス)などが有名です。
話題の「黒酢」「赤酢」はそれぞれ、玄米、酒粕を原料とした酢の通称で、やや黒み、赤みをおびているので、そう呼ばれます。これらは、穀物酢にあたります。ちなみに、中国の黒酢、赤酢とは、まったく製法が違い、使い方や個性も違うので、お間違えのないように。

また最近は、多くの種類の「果実酢」を目にします。ブドウからつくるワインビネガー(ワイン酢)、リンゴから作るリンゴビネガー(リンゴ酢)以外にも、シャンパンビネガー、シェリービネガー、また、フランボワーズビネガー、エストラゴンビネガーなどさまざまな香りや味の果実酢があります。
「果実酢」は、基本的には、ブドウ果汁、リンゴ果汁をそれぞれ単独で酢1Lあたり300g以上使用した「ワイン酢」、「リンゴ酢」とそれ以外の「果実酢」に分類されます。柿や梨などを原料とした「柿酢」「梨酢」などもありますが、果実生産地における特産品的なものが多いようです。
上記であげた、フランボワーズビネガーやエストラゴンビネガーなどは、ワイン酢に果物や香辛料、ハーブ類の香りを添加したもので、単独で「○○酢」とはならず、「果実酢」にあたります。すっかりおなじみになったバルサミコ酢もワインを原料とした果実酢のひとつですが、ワイン酢とはつくり方が異なるため、厳密にはワイン酢と呼びません。

ざっと分類を説明致しました。おわかりになりましたか?同じ、穀物酢をとっても製品によって色、香り、味ともにさまざまな個性がありますので、いろいろとお試しになるのが一番かと思います。また、黒酢などは健康飲料としての需要も多い、今日この頃ですが、商品名に黒酢とかかれていても、上記であげた条件にあわないもの、添加物が多かったりするものは、名称が「清涼飲料」となっていますので、ご確認を。

さて、次回は、先ほどもいいましたが、酢の働きについてお話しようと思っています。

ところで、「酒のあるところに必ず酢あり」という言葉があります。確かに、日本酒と米酢、ビールと麦芽酢、ワインとブドウ酢…と考えていくとお酒の種類だけ、お酢にも種類があるようです。今後は、料理に飲み物を合わせる時に、料理に使っているお酢によって、お酒を選んでみてはいかがですか?