『食の豆々知識』 Vol.17 続味噌

さて、今回は先日お話できなかった、味噌の使い分けと使い方のお話。

みなさまは、お味噌汁を作るときに何味噌をお使いになりますか?
何味噌を使うかは、地域や好みによることがほとんどですが、季節によっても使い分けされます。

例えば、日本料理の世界では、赤味噌と白味噌を合わせた“合わせ味噌”として味噌汁に使用する場合、季節によってこの配合は変えるのが普通です。
夏は、赤味噌を多めに塩分を強くさっぱりと仕上げ、冬は白味噌を多く甘味を強くし、こくをつけるようにします。暑さ、寒さに対して身体が求めている味ということでしょうか。
また、基本の調味料さしすせその方式によれば、味噌は最後に加えることになりますが、実は、赤味噌は香りが飛ぶので加えてからは煮立てないようにしますが、白味噌は熟成が浅いのでにおいを和らげるために、少し煮るようにします。
かといって、合わせ味噌をわざわざ時間差をおいて入れることはなく、赤味噌が多い配合であれば、煮立てず、白味噌が多い配合であれば、少し煮るというくらいでいいと思いますが...。

では、“鯖の味噌煮”は何味噌で煮ることが多いでしょうか?
赤味噌の方が、肉や魚の生臭みを消す作用や有害物質(アレルギー物質など)を吸収する作用が強いため、赤味噌あるいは、合わせ味噌でも赤味噌の配合が多い味噌で煮ることが多いように思われます。が、冷蔵庫や流通が発達した今、白味噌の方が素材の持ち味を生かし旨味を引き立てるため、フランス料理でいうソースの役割を果たす白味噌で煮ることにこだわっている店もあります。ただ一般的には、白味噌はにおいの少ない上品な白身魚に合うとされているようです。
また、香りの赤味噌といっても、臭み消しの作用を重要視する鯖の味噌煮では、味噌を最後に入れるだけでは役に立たないので、味噌を入れるタイミングとしては、2/3の赤味噌を先に加え煮込み、仕上げに残りの1/3を香りを楽しむために加えるという方法がよくとられます。

味噌汁にしろ、味噌煮にしろ、もちろん信州味噌や麦味噌でもおいしく頂けます。味噌は全国で作られ、地域色の強い調味料ですので、その地域の味噌を使用した方が、その土地らしさや家庭的な味がでると考えられます。

まあ、最終的な結論としては、好みで使い分けられることが多いようです...。と、今回のコラムは、まさに、豆々知識となってしまいました。

さて、次回は、今回で調味料の“さしすせそ”全てをお話しましたので、最後のおまけ、“みりん”についてお話しようと思います。その後はそろそろ、調味料の話もあきて(私が?みなさまが?)きましたので、次々回からは何をテーマにするか検討中。みなさまからのご希望をメールにて、募集しております(笑)。