『食の豆々知識』 Vol.45  桃の節句

世の中は、大変なことになっているようです。

毎日毎日、餃子、ぎょうざ、ギョーザ…。

ところで、2月7日は、今年の(毎年違います)中国の旧正月。中国では、旧正月には、餃子を食べるそうです。

餃子は皮からうちで作るもの、だったそうですが、やはり、日本のお節同様、ここ近年では、中国でも、冷凍餃子などを買って済ます家庭も増えているそう。

どんな形であれ、やはり、季節や節句の食は、忘れずにいたいものです。

てなことで、今回は、明るい話題に切り替えて、桃の節句(雛祭り)の食の話。

なぜ、桃の節句には、はまぐりのお吸い物やちらし寿司が食されるのでしょうか?

●雛祭りの食材① はまぐり

はまぐりは、組み合わせ以外の貝殻とは絶対にかみ合わない、ということから、一夫一婦(よい伴侶にめぐりあえますように)という願いを込め、食べるようになったといわれています。

もともとは、3月3日に潮干狩りをして楽しむ風習があり、そこからはまぐりを食べるようになったという説も。

1つの貝に身を2つ入れて盛り付けるのが正式です。

はまぐりは、「女性の貞操の意」とかいてある文献もあり。それって…。

●雛祭りの食材② 菱餅

薬用効果のある蓬(よもぎ)は、邪気をはらうといわれ、厄除けのために、蓬餅を食べていたのが、ひなまつりの始まり。

これと、子孫繁栄と長寿の力があるとされる菱の実で作った白い餅、解毒作用のある山梔子(さんしし)を入れた赤い餅(赤は、魔除けの色でもあり、また、桃の花のイメージでもあるそう。なんか、逆の意味なんですがね)を合わせて、3色になったようです。

一般的には、“雪の下には新芽が芽吹き、上には桃の花が咲いている“という春の状況の意味で、下から、緑、白、赤の順に重ねます。

●雛祭りの食材③ ひなあられ


ひなあられは、もともと、野外でひな遊びをするときに持っていった携帯食料です。菱餅を砕いて作ったものだったようです。

ところで、ひなあられは、関東風と関西風があることを知っていましたか?

私は、東京生まれ、東京育ちなので、ひなあられは、ポン菓子(米のあられ)を砂糖がけしたもの、と思っていました(辞書にもそうでています)が、数年前、関西で、しょっぱい、おもちから作ったひなあられに出会いびっくりしました。

今回、ひなあられの始まりを調べていて、菱餅を砕いて作ったと知り、ひなあられは、実は関西版が元祖なんですね…。

●雛祭りの食材④ 縁起のよいもの

他にひなまつりに食べる食材として、一般的に縁起がよいとされる、えび(赤は生命を表す)や、はす(見通しのよい人生)、鯛(めでタイ)などがあります。

これらを女の子らしく、かわいく、華やかに仕上げると、「ちらし寿司」、「はまぐりのお吸い物」がひなまつりの定番メニューになるのがわかりますね。

●雛祭りの飲み物

ひなまつりにつきものの、白酒(しろざけ)。白い色で、桃の花との対比もめでたい、ということで、ひなまつりに飲む風習が広がったという白酒は、ひなまつりの歌にもでてきます。

ところで、この白酒、「子供の頃から好きで…」とか、「うちでよく作って…」という人は、間違ってます。

実は、本当に飲んだことのある人は少なく、甘酒と勘違いしている人がほとんどなのです。

白酒とは、みりんや焼酎などにもち米や米こうじを混ぜて仕込み、1ヶ月間熟成させて造ったもので、アルコール類は10%前後、リキュール類に含まれます。

甘味が強く、飲み口がいいのですが、お酒です。子供は、飲んではいけません。また、家でも作れません。

ちなみに、甘酒は、ご飯に米こうじをまぜて保温し、米のでんぷんを糖化させたもので、アルコールをほとんど含まない甘い飲み物(酒粕からつくった甘酒は、アルコール分が多少残っている場合があります)として、分類され、お酒には入りません。

ちなみに、白酒、読み方がいろいろあり、それにより、意味が異なります。

しろざけ:ひなまつりに用いる甘みの強い酒
しろき:神事に供される酒
はくしゅ:どぶろくなど

さて、私事ですが、昨年うちに姫が生まれ、今年は初節句。

私が小さい頃飾っていた七段雛飾りを、実家から運び、必死に飾りました。

20年ぶりくらいに飾ったおひなさまは、やっと出番!、という感じでうれしそうだなと勝手に思っていたのですが、実は、おひなさまというのは、お祝い(初節句)をした女の赤ちゃん自身を守るものだそうで、ママのおひなさまを飾って終わらせてしまう…というのは、本来の初節句の意味をなさないんだそうです。

ママのおひなさまは、ママ自身を守るもの、赤ちゃんへは、赤ちゃんのおひなさまを用意するのが、本式だそう。

あれ?でもよく考えてみると、このおひなさま、実は、姉の初節句に用意されたもの。ということは、2人のだと思っていたけれども、もともと、私ではなく、姉の守り雛?

ということで、ま、このせまい住宅事情、おひなさまを1人ずつ持つなんてことは無理ですし、細かいことは気にせずがんばって、何人もの女の子を守ってくださいまし(笑い)。