『食の豆々知識』 Vol.156 大麦

もち麦が健康食品として話題です。

でも、昔から麦飯って、とろろご飯とかでありましたよね?

先日、麦飯の麦ともち麦は違うの?という質問がありました。

今回は、そんなでまずは、麦の種類の話から。

 

●小麦、大麦、もち麦、はと麦...どう分かれているのかわかんない~!

まずは、大麦と小麦。これが大きく違うのは、なんとなくわかります。

イネ科の中のひとつのくくりの中に、小麦や大麦という種類があります。

同様に、ライ麦とか、燕麦(オート麦)とかもおなじくくりの違う種類です。

同じように見えて、ちょっと違うのが、はと麦。

これは、同じイネ科の中のもうひとつの「きび」というくくりの中に属します。

どちらかというと、とうもろこしとかに近いくくりです。

次に、パスタなどで使われるデュラム小麦や、最近こだわりのパンなどで使われるスペルト小麦は、その名の通り、小麦の中の品種です。

そして、ここからがちょっとややこしいのですが。

大麦は、粒の皮裸性(実と皮のはがれやすさ)に着目し、皮麦と裸麦に分かれます。

外皮がはがれやすいものが裸麦ですね。

そして、皮麦の栽培品種のほとんどが二条大麦であり(でも六条大麦もあります)、裸麦のほとんどは、六条大麦とよばれる品種となります(はだか麦の二条大麦はあまりないそう)。

六条大麦は、なんか聞いたことがありますよね。

麦茶です。

他に主に、麦ごはんとして食べたりします。

二条大麦は、ほとんどが、ビールや麦焼酎などのお酒の原料に使用されます。

このほとんど、というのが問題で。

裸麦には、焼酎の原料となるものもあったり、二条大麦も麦飯としてたべたりするものもあったりします。

そして、問題のもち麦はどこに入るかというと、裸麦に入ります。

裸麦には、お米のように、うるち種ともち種があり、名前の通りもち麦は、もち種です。

そして、一番よくわかないのが、丸麦。これは、麦を精麦した状態のことです。

ということは、厳密に言えば、すべての品種の丸麦があるということ。

ただし、需要がないので、それは作っていません(笑)。

麦飯にしやすい、うるち種の丸麦が多いようです。

 

●で、麦飯は何の麦?

上の説明より、麦飯に入れる大麦の品種はいくつかあります。

ただ、一番よくみかけるのは、押し麦と呼ばれるものです。

これは、品種ではありません。

押し麦は、丸麦を蒸気で加熱しやわらかくしたところで、ローラーにかけ、平らにさせたものです。

これにより、白米と一緒に炊いても、炊きやすく、また、食べやすく、消化もよくなるようにしたわけですね。

丸麦を白米と一緒に炊こうとするには、一晩、丸麦だけを浸してからでないとうまく炊けません。

 

●ちなみに薬膳としての麦の効用は?

今や、もち麦の効用は、テレビやネットで騒がれていますが。

薬膳としての大麦には、清熱補脾、利尿止泄、つまり、身体の余分な熱を取り、利尿作用により、余分な湿をだしてくれる、という。

まさに、これからの梅雨時期に必要な食材だったりするわけです。

ところで、むか~しむかし。うちの息子がまだ、小学校低学年の頃。

押し麦を使った麦飯を炊いて、とろろご飯にして出したら…。

「おかぁさん!このごはんこわれてるよ‼」と。

確かに、こわれているように見えますね(笑)。