『食の豆々知識』 Vol.177 季節の薬膳 春Ⅰ

だんだん暖かい日が多くなってまいりました。

春になると、冬眠していた万物が芽吹き、生長する時期に入ります。

夜(陰)の長さが短くなり、昼(陽)の長さが長くなります。

そんな自然の現象が、人の体の中でも起こっているんです。

さすがに、もう私は成長はしませんが...。

あれ?いや体重は成長してる...??(笑)

そこは、気づかなかったことにして。

内側にむいていたベクトルが、外に向けて放出されます。

つまり、冬の間、栄養を貯蓄しようとしていた身体が、今度は、それを発散しようとする訳です。

春はデトックスとよくいわれるのは、このことですね。

今回は、そんな春に食べるとよい薬膳の話。

 

●まずは、春に表れる身体の特徴から

以前、五行とかと話を少々したように思いますが...。

春は、「風」の気の季節です。

「風」は、上に舞い上がりやすく、あちこちに飛び散るイメージです。

なので、不調は、上半身に出やすくなります。

頭痛や、めまい、目の充血、鼻づまり、のどの痛みなど。顔がかゆくなったりもします。

花粉症の症状にも似ていますね。

これは、身体の中で、うまくデトックスができていない、ということです。

このデトックスは、「肝」の働きです。

春は、「肝」の働きが活発になります。

「肝」の働きが悪くなると、睡眠や精神の不安定な症状が出やすくなります。

不眠やうつ、イライラなどです。もともと、栄養が足りない状態だったり、春の生活の変化などストレスを感じたりすると、肝に影響し、こういった症状がでるのです。

また、「肝」の働きは、消化の働きをする「脾」にも影響してきます。

そのため、「肝」が働きすぎると、食欲不振・疲れになるのは、このためです。

 

●まずは、これをよくとって、発散の手助けをしてあげましょう

これまた以前、だらだらと、食材の話をしていたと思いますが(笑)。

そこに出てきていたのが、「解表類」。

なんだそりゃ、って感じですかね(笑)。

「解表類」の食材は、発汗性が強く、春のデトックスを手伝ってくれます。

なので、この時期は、この解表類の食材をよくとるようにしましょう。

「解表類」は、「辛温」と「辛涼」に分かれます。

温めながら発汗するか、身体の熱を取りながら発汗するか、です。

今、温活などといわれ、身体を温めることが大切だと言われています。

低体温の方が多く、もちろん、温めることは大切なのですが、一概に、温めればいいとはいえません。

特に、この「肝」は、熱を持つと興奮しやすくなり、イライラが増しやすくなったりもします。

なので、基本は、春分を境に、暖かくなり始めたら、「辛涼」を使用するようにします。

春分をすぎても寒かったり、もともと冷え性の方などは、「辛温」を多めに使用するといいでしょう。

辛温解表類…ねぎ、生姜、紫蘇、みょうが、三つ葉、パクチーなど

辛涼解表類…菊花、ミント、葛など

ちなみに、春は、「筋」「目」「爪」と関係深く。

体調の不良が、ここに表れやすくなります。

目が疲れやすくないですか?春になると筋を痛めたりしていませんか?

こんなことからも、今の身体の状況に気づいたりします。

ところで、日本では、春に菜の花や、たらの芽、ふきのとうなどがでまわります。

これらは、「辛涼」の食材であることが多いです。

温かくなってから、出てくるものなのですね。

出始めた春の山菜を楽しみながら、旬のものを食べることが必要だということを、本当に感じる今日この頃です。