石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その116
「そのお腹!なにそれ!?」
「なんだよ。悪いか!これが俺のありのままだ~。文句あるか。」
「バカじゃないの、心配して言っているのに。知らないわよ、どうなっても。逝くときはポックリ逝ってよね。」
「うるせ~な!」
てな会話が毎度繰り広げられる我が家でございます。
もっと優しさに満ちた良い家庭会話が本来ありそうなものですが…。
人と人が必ず接するのが飲食店ですから、だとするならばそこには優しさに満ちた会話があるべきですね。
だってサービス業ですから。
ところが・・・。
『言葉・表情でお客様の受け取り方は全く違う』
顧問店の社長と打ち合わせを行うのに、その社長の店ではなく、他店で行うことが多いのですが、その日も都内の喫茶店でミーティングしていました。
もう、30年以上は営業していると思われる店で昔は看板娘と言われたであろうオバはんが甲斐甲斐しく働いています。
石田は案外こういう店が好きです。
なんだか安心します。
キャラメルマキャなんとかみたいなメニューがあるカフェより、トマトジュースやミルクセーキがある化石のような店が落ち着くのです。
(コンサルタントとしては遅れた店だろうとなるのですが…。)
ところが石田の良い心持ちが一変することが起きてしまったのです。
時計の針が9時を回った時でした。
オバはんが近づいてきて、顎と頬に手を置きながら、右半分つぶれた顔でこう言ったのです。
「もう、そろそろ帰ってもらっていいですか?閉店するんですよ。はあ~。」
ため息をつきながら放たれたその言葉は、嫌気がさしたような表情がともなっていたために石田の心は木端微塵。
「社長出ましょう、帰りましょう。」
そう言いながら、
(なんだ、その言い方。
閉店時間が9時なんてこっちは知らなかったし、そうなら5分、10分前でもそろそろ閉店時間だと教えてくれりゃちゃんと帰ったのに。
だいたい言い方ってもんがあるだろ、さも迷惑そうな顔しやがって。
そんなに迷惑なら2度と来ないよ。
客なのに、なんでこんな気持ちにさせられるんだ)と、
なんか悪者になったような気分で店を後にしました。
後で考えれば大したことではないかとも思うのですが、なぜ石田がああも心を動揺させたのでしょうか。
言い方と表情だと思うのです。
「お客様、そろそろ閉店でございますので」とにこやかに言ってくれれば、「あ、ごめんごめん長居したね。ごちそうさま」となったはずなのです。
同じことを言うにしても言い方ひとつでずいぶん違うものですね。
ウチでも「あなた、最近、心配よ。
お腹がちょっと出てきているわよ。
何かあったら皆が悲しむわ・・・」とでも優しく言われれば、
「そうか、そうだね、気をつけなきゃいけないね。痩せないとね」となるものを。
無理か…。
ではまた。