石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その118
「ちょっと!何で最後まで飲まないのよ!」
いつものようにまた奥神様のお言葉です。
「いつも、いつも、いつも、お水だって、コーヒーだって、ちょっと残してそのまんま。
もったいないでしょ。
何で最後まできちんと飲まないのかしら。
お水買ってくるのだって重くてたいへんなのよ。」
聞こえぬように反論です。
「ちっ、ハイハイ飲みます、飲みます、最後の一滴まで。
買わなきゃいいんだよ、東京の水道水はボトルで売っているくらい綺麗でおいしいんだ。
わざわざ金出して水買うとはセレブか、ウチは・・・。」
「何か言った!?」
「大事に飲まなきゃいけないよね。
苦労して買ってくる水だもの、お金もかかっているしね。
それに健康はお水から・・・」
「もういいから、黙ってくれる?」
いやいや確かに身の回りには大事にしないといけないことがいっぱいあるようで・・・。
『物は大事に最後まで』
最近、海外の仕事が増えてホテルを利用することが多いのですが、星がいくつもつくホテルはさすがにサービスはしっかりしています。
東南アジアは特に人件費が安いためでしょう。
サービスに携わる人がウジャウジャというくらい雇われているため、細かい気遣いにたびたび出会うことがあり、感激することもしばしばです。
ところが先日、五つ星のホテルのレストランで顔をしかめるようなことに出会いました。
少し離れたテーブルにお座りのご夫婦が食事を終え、席を立った時のことです。
にこやかに見送るスタッフ、笑顔で出ていくご夫婦、何の問題もありませんでしたが、ご夫婦のいなくなったテーブルを片付けたあとのスタッフの行動が目を疑うものでした。
それは、最後の整理整頓のときでした。
テーブルを整え椅子を整えるとき、なんとそのスタッフは足で蹴りながら椅子を位置に合わせているのです。
ボコンボコンという音とともに確かに整理整頓はできましたが、見ているこちらは気持ちのいいものではありませんでした。
自分のものでないもの、自分がやったことでないことは大事にする気持ちが減少するというのは日本でもたびたび見かけることがあります。
公共のトイレの汚さや、道に唾を吐く人、ベンチにごみを置き去りにしている光景などがそれです。
我々のお店ではどうでしょうか?
食器や道具類、備品、内外装、椅子、テーブルなど、スタッフにとっては自分のものではありません。
無意識に扱ううちに雑になってしまうことは考えられます。
自分が働く場所の環境は自分の場所です。
スタッフ教育の時、その認識を自覚するように言うのも忘れてはいけませんね。
何より、物を大事にすることは人として大切なことですよね。
ではまた。