KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.139

さてさて、久しぶりにまともなGWが始まりましたね。

天候もよく、社会は3年以上のブランクを取り戻すように動き始めました。

我々の業界もようやく、お客様が戻ってきたという、実感が得られるまでになってきました。
ホントにうれしいことです。

もちろん、ゼロゼロ融資の返済が始まることや、人手不足によるオペレーション再構築などの課題を抱えていらっしゃる飲食店も少なくないでしょうから、もろ手を挙げてよかったとは言えませんが、ひとまず“普通”がやってきたことを喜びたいところです。

さて、今回は“普通”が感じられる先端の都心部の飲食店に訪問した時に「あらら、こりゃだめだ!」と感じたことのお話です。

そのお店は外食産業の発展とともに歩んできた大手チェーンの焼肉店です。

夕暮れ時、2名でお店に入りました。

大手チェーンでは当たり前の出迎えがありません。

こちらから「二人なんですけど、いいですか?」と聞いてしまいました。

話しかけた女性スタッフはニコリともせず、「あ、いいですよ」と言って案内してくれましたが、〈マニュアルはなくなったのだろうか〉と思うほど基本ができていません。

テーブルに案内されましたが、タブレットを指して「ご注文はそちらでお願いします」と言葉を残してさっさと去って行ってしまいました。

本来、焼肉業態はここでテーブルの焼き台に火を入れなければいけません。

肉は、十分鉄板や網の温度が上がっていなければ肉がうまく焼けませんから、「しょうがないなあ」とつぶやきながら自分で火のスイッチを入れる有様です。

まあまあ、という思いでタブレットを手に取り、とりあえず、ドリンクを選び始めましたが、瓶ビールがありません。
生ビールしか置いてないのかと、通りかかったスタッフの方に「瓶ビールはないんですか?」と尋ねてみました。

すると、「ありますよ」と言われたので、タブレットにはないと伝えたところ、「そうですか?そこになくても瓶ビールはありますよ」と淡々と返すではありませんか。

驚きました。

店は商品を用意してあるのにメニュー表には載っていないという大きな問題を、全く従業員が感じていないのです。

その場で確認しようともしません。

さらに言えば、本部の管理者は点検をしていないのでしょうか。

効率化のために導入したツールを点検するのは人間です。

DX化が重要なのは飲食業界も例外ではありませんが、それをどう生かすかはそこにいる人間のアンテナの張り方に他ありません。

その後、タブレットを使い注文し、食事をしましたが、タブレットは、確かに店にとってもお客様にとってもプラスが大きいのだろうと感じられる便利ツールだと感じました。

万能ではないと警戒しながら、導入、使用すれば強い味方になるということでしょう。

思いつく、警戒するべきデメリットを上げておきます。

- 来店客とのコミュニケーション機会が減る、結果、接客力が落ちる

- デジタル機器の操作が苦手な高齢者などの客層もいる

- 端末やネットワークにトラブルが発生する可能性がある

- グランドメニューの入力時に入力ミスで商品が抜ける

- 客単価が下がる可能性がある

ホント、大変ですが頑張りましょう。

お客様の笑顔を創りましょう。

では、また。