KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.141

梅雨入りして、湿気が高く、蒸し暑い日が続いていますね。

今月に入ると、熊本や山口などで線状降水帯が発生し、川が氾濫するなどの災害が発生しました。

全国各地で水害が激化しています。皆様ホントお気をつけください。

コロナ感染が落ち着き、微妙に感染者が増えている状況にもかかわらず、収束のマインドが広がっていることから、我々の仕事の依頼も増えてきました。

その関係で、新しい街を訪れることも多くなりました。

今回はそんな街に訪れたときに出会った、残念なお店に遭遇したお話です。

一仕事終えて、食事に向かうことになり、スタッフと歩きながら店を探していると「???」な飲食店が目に入りました。

店の看板は3つあり、店名がアルファベットで表記していて、店名自体は七色のカラー文字で非常に目立つのですが、何が食べられる店なのかがわかりません。

「どうするかな、たまには冒険してもいいかもね。」

私の言葉に同行していたスタッフは「おもちゃ屋みたいな看板ですね」と言いながら、スマホを取り出し検索を始めました。

「アジアンキッチンですね。

美味しそうですよ」とのことだったので、入店しました。

元気に迎えてくれたその店は、愛想のいい二人のホールスタッフと外国人の料理人スタッフ2人で回している感じの良い店でした。

注文した商品もなかなか良く、気持ちよく過ごすことができました。

「もっとお客様が入っていてもいい店ですよね。」

スタッフの漏らしたこの言葉ですが正にその通りです。

目立つ・注目をさせるという誘導機能は持っているのに、関心・欲求を持たせる機能を考えていないのです。

たまたま通りかかったお客様は、店の外観や看板で、どんなお店なのかを判断します。

検索するというサーチ社会になっている今だから、お客様は私たちのように来店してくださる方がいらっしゃいますが、あの目立つ看板では、多くの方は首をひねりながら通り過ぎるのが関の山です。

何屋で何を売っているのか、どんな雰囲気で営業しているのか、わからなければ、お客様は入店してくれません。

会計時に「ありがとうございました。

初めてですか?」と聞かれたので、

「そうです、迷ったんですけど、ネットで見たらおいしそうだったので入ってみました。」

すると、「中がよくわからないってよく言われるんです。

またお待ちしています。」

こんな会話をしましたが、〈お客様が欠点を教えてくれているのに、なんで変えないの〉という言葉が喉まで出かかりました。

このお店は2階にある店だったので、なおさら入りにくいはずです。

見えない店は看板や下の通りからどう見えるかに工夫を凝らさなければなりません。

こんな店の雰囲気で、こんな料理をお出ししていて、こんなスタッフがいて、こんな過ごし方をしているお客様いる、ということが想像できるような表現が、お店の外側からわかるように表現されていなくてはなりません。

入ってくれればわかる、食べてくれればわかるなどという、独りよがりの考え方は通用しないのです。

注目→関心→欲求→記憶→行動という、お客様の動きは未だ消えてはいないのですから検索(サーチ)に頼ったような手法だけではダメだと知るべきですね。

ホント、大変ですが頑張りましょう。

お客様の笑顔を創りましょう。

では、また。