KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.149

こんにちは。

寒い日と暖かい日が入れ替わりにやってくるだけでなく、日中と夜間の気温差が10℃近く変わることもある時期。

顧問店の皆さんの中には体調を崩されている方もいるようです。

加えて花粉症も始まっています。

季節の変わり目ですのでご自愛ください。

さて、街の飲食店の様子ですが、相変わらず、夜のお客様の動きが鈍いようです。

人手不足も解消の気配がありません。

新店のオープンでさえ人の集まりが悪く、延期になってしまった例も出ています。

猫の手も借りたい今、面接さえくれば採用となるので、レベルはおのずと下がりますね。

今回は、そんな店に出合ったお話です。あ~ぁ。

「お疲れ様でした、1杯行きましょう」という社長と、打合せの後、よさげな洋風居酒屋に入りました。

結構な混みようで活気があります。

「いらっしゃいませ」と席に通されると、すぐにおしぼりとお通しを持った若い男性がやってきました。

「私は○○と申します。

よろしくお願いいたします。

お飲み物からお伺いします」

たどたどしく、注文を聞きに来た新人に「とりあえず、生ビール二つ」と頼みました。

メニューを広げ、何品か選び、ビールを待っていましたが、なかなか来ません。

「最初のドリンクが遅いねえ」

まずは喉に水分を通したいのでお通しにも手を付けずにいました。

店内を見渡していると先ほどの彼がパントリーから出てきました。

シルバーのトレンチ(お盆)の上には生ビールが5杯ほど乗っています。

おそらく何卓かのものを一緒に運んでいるのでしょう。

居酒屋でドリンク、特にジョッキを運ぶ時の基本は素手が普通なのですが、教わっていないのでしょう。

危なっかしいなあと眺めていました。

思った通りで、残った2杯をもって私たちのところにやってきて、トレンチから1杯を置いた時です。

残りの1杯がトレンチごと私の腹にぶちまけられたのです。

「申し訳ありません」

慌てて彼はたくさんのおしぼりをもってきて恐縮しています。

怒るのも大人気ないと「あぁ、大丈夫、大丈夫、新しいのを持ってきてね」と彼を気遣い、良い人になって、新しい生ビールを待ったのですが、しばらく経ってもビールは運ばれてきません。

入店して、20分以上何も口にしていません。

だんだんイライラが募ってきました。

30分経った頃、社長が「もう出ませんか。ビールはかけられるは、こんなに待たされるわ、店変えましょうよ」ということで、私たちは席を立ち、レジ近くにいた別のスタッフに
「何も来ないし帰らせてもらうね」と言って、店を出たのでした。

50mほど歩いたところ「お客さ~ん」と先ほどのぶっかけスタッフが私たちを追いかけてきました。

「おー、律儀に謝りに来たぞ」と思い、彼を待ったのですが、追いついた彼の言葉は違っていました。

「お客さん、お勘定が支払われていません」

「え、何も飲んでないし、食べてもいないぞ」

「いえ、生ビール2杯頼まれたのとお通しの分があります」と。

さすがに社長が怒り出しました。

「何を言っているの、ビールをぶっかけるわ、その後のビールは来ないわ、お通しだって食べていないし、注文もしていない。

30分以上ほったらかされたから帰るのに、支払いしろとはおかしいだろ。

責任者が払えと言っているのか?」

「いえ、私が叱られてしまいます」

「キミ、責任者に状況をしっかり説明しなさい。

それでも責任者が支払えというなら、ここに電話しなさい」

そう言って、社長は名刺を渡したのでした。

びっくりしました。

その後、別の店で飲み見直しながら、この話で盛り上がり、話が尽きませんでした。

「電話、かかってきますかね」

「ないだろう、あったらニュースだよ」と言って別れたのでした。

結局、電話はありませんでした。

しっかり教育してほしいものです。

ホント、大変ですが頑張りましょう。

お客様の笑顔を創りましょう。

では、また。