『食の豆々知識』 Vol.56 春キャベツ

菜の花、たらの芽、こごみ、ふきのとう、竹の子、グリーンピース・・・。

野菜売り場に、春野菜が並ぶ季節となりました。

キャベツも、「春キャベツ」として、並び始めます。

ん?

キャベツって1年中出回っていますよね?

なんで、この時期だけ、わざわざ、春キャベツと名前を変えるの?

ということで、今回は春キャベツのお話。

 

● 春にとれたキャベツが春キャベツ?

春キャベツは「春玉」「春系キャベツ」と呼ばれる品種で、同じ品種のキャベツが春にとれたから、春キャベツという訳ではありません。

ですから、この時期は、一般のキャベツと、春キャベツの2種が店頭に並んでいる場合もあります。

春キャベツは、他の品種に比べ、葉の巻き方がゆるやかで、外葉の色が濃く、比較的外向きに広がっているのが特徴です。

水分を多く含んでみずみずしく、やわらかいため、生食にむいているといわれます。

また、外葉や芯もおいしく食べられます。

一般的に1年中出回っているのは、冬キャベツと呼ばれる「寒玉」や最近人気の「丸玉」ですが、品種改良により、「春玉」も1年中食べられるようになりました。

が、旬はやはり、2~5月。

この時期に「春キャベツ」 として、堂々と店頭に並びます。

ちなみ、キャベツのルーツは、あの「ん~、にがい!」で有名なケール。

紫キャベツや芽キャベツ、縮緬キャベツの他に、ブロッコリーやカリフラワー、コールラビなども、みんなキャベツの仲間です。

 

● 春キャベツと普通のキャベツ栄養は違うの?

キャベツは、ビタミンC、ビタミンU(これが、よく薬の名称でも耳にする「キャベジン」ですね。キャベツから発見されたんですよ)の含有量が多く、また、ビタミンA、ビタミンK、カロチンなども含まれています。

春キャベツと冬キャベツの栄養には、さほど違いはないようですが、これらの栄養は、外葉や芯に多く含まれていることが知られています。

水や火に弱い栄養が多いため、外葉や芯がおいしく、生で食べる機会が多い春キャベツは、冬キャベツよりもビタミンたっぷりと言えそうです。

ちなみに、紫キャベツや芽キャベツは、更ビタミンの含有量が多いそうですが・・・。

 

● 春キャベツは軽い方がおいしい?

一般的にキャベツは、葉がよくしまり、ずっしりとしているものがいいと、言われています。
しかし、春キャベツは、ゆるい葉の巻き方が特徴。

実際に葉の枚数を調べてみると、ある冬キャベツは54枚、春キャベツは39枚だったそうです(所さんの目がテン!ライブラリーより 笑)。

では、春キャベツは軽い方が、ふんわりとしていておいしいのでしょうか。

春キャベツは、葉が少なくても、他のキャベツと重さが変わらないくらい葉の1枚1枚に水分を含めるよう改良した品種なんだそうです。

ということは、葉の枚数が少なくても、やはり見た目よりもずっしりと重いものの方がいいということ。

また、芯は高すぎると苦味がでますが、春キャベツは他の品種よりも高めのものがいいとされています。2/3くらいでしょうか。

葉がみずみずしく、色も濃く、ずっしりと重いものをお選びください。

 

● 春キャベツのお好み焼きはまずい?

何年か前、NHKの「ためしてガッテン」というTVで、広島風キャベツのお好み焼きの作り方をやっていたことがありました。

うろ覚えですが、8分ほど蒸し焼きすることで、キャベツの甘さを引き出し、おいしく仕上がるとのこと。しかし、その放送の後、「おいしくなかった」との視聴者の声があったそうで。

どうも、その作り方を撮影したのは冬だったのに、放送が春だったため、視聴者は店頭で並んでいた春キャベツで作ってしまったことが問題だったようでした。

春キャベツは、水分が多すぎて、冬キャベツのレシピだと水分がとばないということのようです。

その改善点では、春キャベツを電子レンジで加熱し、1度水分を飛ばして1/3くらいの量にしてから、同じように焼くとおいしいと言っていました。

しかし、せっかくの春キャベツ、もったいないですよね。

やはり、冬キャベツは冬キャベツの、春キャベツは春キャベツのよさをいかして、おいしく食べて頂きたいものです。

ところで日本人の好きな野菜ランキングによると、キャベツが1位だとか。

男性では圧倒的にどの年代もキャベツが1位、女性も3位内にはどの年代もキャベツが入っていました。

野菜不足を感じている人が多い現在、ぜひ、この季節には春キャベツをどうぞ。