『食の豆々知識』 Vol.227 卵
卵不足が続き、外食チェーンで卵を使用したメニューが休止されたというニュースを毎日のように目にします。
そして、もちろん、スーパーでも卵の価格が高騰しています。
むか~し、むかし、生まれたばかりの娘は、卵、乳、大豆にアレルギーがあり、それらを除去していたら、1歳児検診で貧血が出てしまい、びっくりしたことがありました。
卵と大豆には、鉄分が多く含まれているため、その両方を除去すると、鉄分が取りづらいということをその時に気づきました。
卵は、最強の完全栄養食とも呼ばれ、たんぱく質も、良質な脂質も、ビタミン、ミネラル類も多く含み、更に、たんぱく質の優良性を示すアミノ酸スコアが「100」であることも知られています。
そんな優良児の卵をちょっと気になる面から見た話。
● 卵黄と卵白ってどっちを食べた方がいいの?
栄養価が高いのは、卵黄です。
卵黄はたんぱく質だけでなく、ビタミンB群、ビタミンA、D、K、他、鉄分を含むミネラルなどが含まれ、最近では認知症の予防にもなると言われる「コリン」という物質も含まれていることがわかりました。
卵白は、ほぼたんぱく質だけとなります。
が、卵白には、起泡性があります。
メレンゲをつくることができる性質です。
この性質があるから、スクランブルエッグはふわっと仕上がり、ケーキはふわっと膨らみます。
また、卵白には、「セレン」という酸化をおさえる物質を含みます。
つまりは、卵黄も卵白も必要、ということですね笑。
ちなみに、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ、ほぼ卵黄の大きさは変わりません。
ですので、Sサイズの方が、全卵の栄養価は高くなります。
● 赤玉は栄養価が高い?有精卵は?
卵殻が淡紅色である赤玉と言われる卵の方が、栄養価がありそうに見えますが、これは鶏の品種、銘柄の違いによるもので、栄養価はほとんど変わりません。
また、ひなにかえる有精卵の方が、栄養価が高いように思われがちですが、こちらも染色体の問題だけで、栄養価に変わりはありません。
しかし、特製鶏卵と呼ばれる特殊な飼料を与えて育った鶏卵は、その飼料により栄養価は異なります。
ちなみに、卵黄は、唐辛子の餌を与えると色が濃くなります。
ですので、卵黄の色が濃いということだけでは、卵の栄養価が高いとは、一概に言えません。
ところで完全栄養食と呼ばれる卵、実はビタミンCと食物繊維が足りません。
ということで、卵かけご飯にしそか、ねぎを散らしたら、本当の完全食になる訳です笑。(注:卵の1 食に対する栄養価は、ほぼ3割程度ですので、これだけでは、1食分の栄養価には足りません)。
● おまけの薬膳的効能
卵は、薬膳では、「滋陰類」に含まれ、身体を潤す、身体に必要な水分を調整する役割をもちます。
潤いを与えるために、空咳や、のどの痛みなどに効くとされています。
潤いと共に、血を養うとされ、精神不安や不眠などにも効果があるとされています。
卵は、価格が安く手に入りやすい上に、栄養価も高く、そして調理の性質としても、必要な役割を果たしてくれています。
その卵が気軽に使えなくなるのはとてもつらく…。
卵の価格が元に戻るのに、1年くらいと言われていますが。
首を長くして待つことにいたします。