石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その五十一
先日、駅のホームで嫌な場面に出くわしました。
同じ方向に歩いていたカップルがいたのですが、ふたりは私の近くだったので、会話がハッキリ聞こえ、男性が和食の調理人だというのがわかりました。
前方を進んでいた彼らの先にはベンチがあり、そこには牛乳のパックが置き去りにされ、周辺にはタバコの吸い殻が散らばっていました。
私が「不届き者がどこにもいるものだ、困ったもんだ」と思った瞬間、ベンチに座ろうとしたカップルが、「汚えなあ、ったくよお」と声を上げ、男性が足で吸い殻を蹴散らし、手でパックを払い飛ばしたのです。
どっかり座った男性はさらに女性に話しかけています。
「まったく、人の迷惑わかんねえ奴がいるんだよな。常識がねーよ」
ホームに散乱した吸い殻と投げ捨てられた牛乳パックを見ながら石田は声も出ませんでした。
「私は客観的に自分を見ることができるんです。あなたとは違うんです」と言った福田首相の言葉がよぎりました。
(客観的に見てよ板前さん、あなたも常識ないと思うよ。娘さん、あなたもなんか言わないと…。ラブラブの二人には二人の世界しか見えないのね)
ここは私が一言言うべきか?
そんなこと思う間もなく、電車がきて乗らねばならず、ホームの二人を恨めしく見ながら去ったのでした。
彼の上司や先輩が社会の常識を教えてくださるのを期待するしかありません。
美味しい料理の技術を持つ人は人格もよい
石田がお付き合いをしている大阪の社長の店のほんの数メートルのところに「リュータン」というお店があります。
関西では特に有名な“程一彦さん”のお店です。
料理の鉄人である“陳健一さん”をはじめて破った方としてご存じの方もいるかもしれませんね。
「あのお父さん、よく掃除しているねえ」その店を気にしてなかったころ、顧問店の社長にそう聞いたことがありました。
「先生、あそこは程さんの店ですよ。掃除しているの程さんですよ」
「えーあの人が・・」
小さなゴミや汚れが気になるそうで、しっかりご自分でお掃除するのが日課だそうです。
料理教室を開いて一般の方にも丁寧にレシピやコツを伝授なさっています。
達人ですが、全国の料理の研究も欠かさないそうです。
そんな彼がこんなことを言っています。
「全国いろいろなところで料理人と出会いますが、おいしい料理を作る方は例外なく腰が低く人格者です。偉そうにして威張っているような態度をとる人は料理が下手でまずいですね」。
うーん、納得ですね。
ちなみに程さんが鉄人に勝った時のメニューの決め手はチャーハンでした。
黄金の米粒と言われる程さんのチャーハンは一粒一粒に卵がきれいにコーティングされていてサラサラです。
ご家庭でも簡単にできるそうで、炒める前のご飯に卵をまぶしておくのだそうです。
皆さんも一度挑戦してみてはいかがですか。
ではまた。