石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その207

 

「野菜がスゴク高くなってるわ。」

スーパーから帰った奥神様が愚痴を言い始めました。

「あなたがウチで食べるようになって食費がかさむのよね。」

「あのなぁ、ウチで食べるのは世間では普通のことなの。

オイラは仕事柄外食が多いだけだからね。

コロナの影響でちょっとウチ飯が多くなったからって困らないでくれる。」

「だって、野菜だけじゃなくて他の食材も何だか上がっているのよね。

収入が上がれば問題ないんだけどなぁ、アハハ。」

「アハハって・・・。」

〈緊急事態宣言発令〉〈まん延防止措置発令〉が9月12日までとなっている現在ですが、全国に広がる感染者は、高止まりしていることから、どうも延長しそうな気配を見せています。

TVではパラリンピック競技を伝えていますが、世間はコロナの今後の推移とワクチンの速やかな接種状況が一番の関心事でしょう。

商売をさせてもらえない飲食店には、更なる問題がすぐそこまで迫ってきています。

それは・・・。


 

【コロナ感染流行が原材料費雑費の増大を呼ぶ】

 

苦悩しているの我々の業界に追い打ちをかけるように食品の値上がりが相次いでいます。

「天候のこともありますが、野菜をはじめ、油や粉系など、ドンドン値上がりしているんですよ。

売上のことで頭が痛いのに、これじゃ踏んだり蹴ったりでたまったものじゃないですよ」と先日会った経営者も言っていました。

実際、その通りで、食用油は今年に入ってからすでに3回の値上げをし、上げ幅は合わせて1kgあたり100円以上になっています。

それが9月に入って早々、さらに11月1日の納入分から1kgあたり30円以上値上げすると発表されました。

年3回も4回も値上するのは異例でしょう。

コーヒー豆の価格は、ここ1年で1.4倍に値上がりしました。

また、材料となるパーム油がこの1年で1.7倍に高騰したため、マーガリンも値上げです。

他にも小麦の価格は1年で1.4倍にも上昇しました。

小麦価格の上昇から、9月にはパスタ麺が値上げされます。

大豆や砂糖など食品の原料となるあらゆる農作物が値上げとなっています。

大豆価格の高騰で、10月ごろには豆腐や納豆などの大豆由来食品の値段にも反映されるでしょう。

更に懸念するのは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、輸入輸送費が値上がりしていることです。

去年までの輸送費に比べて現在はナント6.5倍も上がっているのです。

各国の水際作戦は日本を含め検査が念入りになっています。

入国検査は当然ながら、コンテナの食材なども例外ではなく時間をかけて行っています。

そのため、コンテナの積み下ろしや、船の滞留時間も増加しているため、そのコストは膨大になっています。

この影響は、来春確実に表れてくるでしょう。

たとえ、日本のコロナ感染が収束に向かっても、関係ありませんね。

世界が収まらなければ変わらないからです。

こうなってくると、現在の対症療法による営業のあり方だけではなく、根本的な戦略として、価格設定を考えなくてはなりません。

現在の商品全品の原価の見直しが必要になります。

一品ずつレシピを明らかにして、食材それぞれの価格を調査し、上がる食材を明確にして、商品の価格を検討しなければなりません。

来春を迎えて頭を抱えるようでは遅いのです。

是非今から輸入食材の使用が多い商品はどのくらいの値上げが適正かシュミレーションしてみてください。

場合によってはタイミングを見て値上げを今からでも行っていただきたいと思います。

マスコミなどが、食品の値上げ報道を盛んにする時期がありますが、その時は消費者も仕方がないと容認してくれる時期ですから、逃さないことです。

他にも値上げのテクニックがあります。

キャッシュレスの手数料も、今は無料のキャンペーン期間になっている店が多いようですが、1.6~1.95%の設定で来春あたりから徴収されるようになります。

原材料費・雑費の高騰は待ったなしで始まっているのです。

Withコロナの状況はしばらく続きますから、いろいろと考えて進んでいきましょう。

ではまた。