石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その222

「今日はどこか行くの?」

「あのさぁ。
今日は歯医者行って、美容院行くって、さっき言ったよね。」

「あ、そうだっけ。
ハイハイ、気をつけてね。」

「人の話、聞いてないの? それとも忘れるの、大丈夫?」

「メモ取っているわけじゃないから、つい、うっかりしたんだよ。」

「普通、メモなんか取らないわよ。
アタマ大丈夫?」

奥神様の口から、呆れたように言葉が続きましたが、もう忘れました。

夫婦は一番小さな組織です。 ここのコミュニケーションがうまくいかないのは、すぐに修正ができますが、これが、会社や店だと大きな崩壊につながることもあるようです。

飲食業界にも時々考えさせられることが起こりますね。

皆様のところは大丈夫だだと思いますけど。

 

【各部門・各人のコミュニケーションを大切に】

飲食店にとってコミュニケーションは大切だということは、昔から言われていることですが、改めて、自分の店はどうなのか、きちんと状況を確認しているかというと、そうでもないお店の方が多いのではないでしょうか。

これが、拡大拡張に向かって規模を大きくしている大手チェーンなどでは、時には存続の危機になることあるようです。

先日、スタッフと店舗視察に行ってまいりました。
〈やるやる高級ネタ無し事件〉〈ビール半額だけど無い事件〉〈マグロ種類ウソ事件〉など立て続けに問題を起こしている例のスシローです。

飛ぶ鳥落とす勢いで、マスコミにもてはやされ、海外出店は、特にバンコクなどで大成功。

3時間待ちは当たり前という、お客様支持1位の廻り寿司の優等生の現状はどうなっているかと視察に行ってきました。

値上げをしたとはいえ、10円程度で大きな影響もなく、そこそこお客様が訪れていましたが、以前の勢いはありません。

少なからず事件の影響があるのでしょう。

ただ、私が懸念するのは事件そのものではなく、その背景を想像する方がぞっとします。

企画や宣伝を考え実行する部門と、それを準備する部門、そして実施する現場、それぞれの連携が取れ、コミュニケーションが充分でないとあのようなことが起こるのです。

部門の意地や確執は多くの人間が関われば関わるほど表面化しますし、風通しが悪くなるものです。

そして「“我々が悪いわけじゃない、責任は他部門にある”」とそれぞれが反省、検証しないと繰り返し同じことを起こすのです。

さてさて、テーブルでそんな話や「ステルス値上げでネタが薄くなってないかい?」なんて言いながら、お会計で無人のレジに向かって会計票をかざした時のことです。

スタッフが「こんなところに配布チラシがありますよ。

5%引きクーポンが付いているじゃないですか。

使ってみましょう」と。

その場でクーポンを使って5%引きになりました。

普通に払おうとしているお客様の前に、本来地域のお客様の〈集客のため〉に配布する(した)はずのチラシが、なぜ置いてあるのでしょうか。

わざわざ売上をレジ前で5%落とすようなことを、本部の企画としてやるとは考えられません。

これから入店しようとしているお客様に金券を配るバカバイトと変わりません。

おそらく、事件後のコミュニケーション不足改善は進んでいないのでしょう。

企画宣伝の部門の意図が現場では伝わっていないのでしょうね。

もしも顧問店でこのようなことが行われていたらと想像すると、思わぬ〈お得〉に素直に喜べない私でした。

ちなみに、バンコク店舗は、今3分で入れます。

イロイロ大変ですが、頑張りましょう。

負けないでくださいね。

ではまた。