石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その224

「酷い人たちを見たわ。

満員電車の中で座席を占拠して、父親と子供が将棋をしていたのよ。

子供ははしゃいで大声で叫んでいるし、バタつかせた足が側の人の洋服を蹴って汚してもお構いなしで呆れたわ。」

奥神様が出先から帰るなりプリプリ状態です。

「将棋が好きなんだろう、今ブームだしねぇ。

周りが見えないんだねぇ。」 

「隣に母親も座っていたのに、騒いでいても関知しないのよ。

どういう神経しているのかしら。

注意しようか迷ったんだけど。」

「関わらない方がいいよ。

へたに注意して反撃されても怖いでしょう。

放っておくのがいいとは思わないけど。」

我が家の常識が世間の常識かどうかの議論はあるかもしれませんが、個人の権利がやたら優先されるような風潮も見える今、社会や会社、学校など社会集団で生きる中での常識は、もう一度見直される時期に来ているような気がします。

そんなことを思っていたら、業界を揺るがすニュースが・・・。

 

【ゲストテロに気をつけろ】

もう、皆様もご存じでしょうが、驚きのニュースが世間を騒がせています。

よくもまあ、次から次へとゲストテロが横行していますね。

スシローでのペロペロテロ、はま寿司の他人注文ワサビのせテロ、くら寿司の食べかけ戻しテロ、資さんうどんの天かす直食いテロ、焼き肉店使用済みようじ戻しテロ、カラオケボックスソフトクリーム直のみテロ、騒がれている間にも醤油直飲みテロが起こっています。

挙げているだけでも気持ちが悪くなってくるようなことが飲食業界で起こってしまいました。

消費者の反応は、お店に対する同情と応援はあるものの、当然ながら「しばらくお店に行きたくない」「気持ちが悪くて外食を控える」「お店の対策を見守る」などの意見も多く見受けられ、外食産業全体に影響を及ぼす懸念も出てきました。

〈安心安全〉が基本の我々の業界では致命傷になりかねない状況とも言えます。

以前に起きたバイトテロの時には、閉店に追い込まれた店もありました。

あの時は、企業イメージを優先し加害者に寛大な処置を行ったところがほとんどでした。

今回は、ビジネスモデルを揺るがしかねない一大事に、刑事民事の両面からペナルティを求めに行くことが各社の方針のようです。

その点に関して全く異論はありません。

ただし、店側も対策を立てないわけにはいきませんね。

店舗の体制づくりが招いてしまったとも言えるからです。

コロナ禍での経営改革として、効率を重視したことで、タブレット端末やモバイルオーダーの導入、ロボットの採用など、更にスタッフのリストラもお客様と従業員の接触機会が少なくなったことで監視の目が減少したことも原因と言わざるを得ないからです。

そんな中、こんな意見も伺いました。

「ウチはこの3年間一切、リストラはしていません。

教育も変わらず行い、お客様との距離も変わらず対応しています。

でもお客様を監視するためではありません。

より良いサービスをすることがアフターコロナで勝つことだと思ったからです。

ただし、バカな人間が現れない社会のあり方、家庭のモラル教育は何とかしてほしいですね。」

その通りで、「人に迷惑をかけない」道徳の精神を教育することが重要でしょう。

苦労して、非接触・効率化を実現したら、今度はその弊害の対策をしなければならない事態はおかしなことです。

「やってはいけないこと」の教育は家庭でも学校でも、そしてIT社会でも「やらなければいけないこと」なのではないでしょうか。

「ウチの店に来るお客様には、あんなバカはいないと思います。

一生を棒に振る行為を行うお客様はウチには来ません」という経営者もいらっしゃいますが、それこそはブランド化なのです。

ブランディング戦略をいつも提唱していますが、それを目指している店には事件は起こりにくいのではないでしょうか。

イロイロ大変ですが、負けないでくださいね。

ではまた。