石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その229

「今日会ったお友達はとてもいい方なのよ。
私の話をすごくよく聞いてくれて、褒めてもくれるのよ。
癒されるわぁ。」

「女は話が御馳走だからな。
新幹線とかで女性グループと出くわすと嫌になることがあるよ。
よくワイワイガヤガヤとあれだけ続くもんだ。」

「何、言っているの。
それを聞けないから男は嫌われるのよ。
あなたも人の話を聞かないものね。
だから私から嫌われているんだわ。
自分だけ言いたいことを言って、いやだ、いやだ。」

「嫌われてる?」

「気づいていなかったの?」

「・・・。」

奥神様が言うように、ホントに嫌われているなら一大事でございますが、皆様のところは大丈夫でしょうか。

これが仕事で起こるとやはり一大事ですが・・・。

 

【独断のみの経営はリスクあり、社員の話も聞きましょう】

商工リサーチから、飲食業倒産が、今年6月までに424件(前年同期比78.9%増)という発表がありました。

これは過去30年間で最多を更新したことになります。

店をたたむということには、いくつかの理由が考えられますが、最も多いのは負債を抱えて苦境を乗り越えられず、やむなく廃業というのが一般的でしょう。

そうなってしまう原因の一つに先日遭遇しました。

負債総額44億円で、コロナ倒産の象徴のようなあるチェーン店を訪れた際、社員の話を聞いてなるほどと納得した話です。

今は他のチェーン店に吸収されたその鮨チェーン店は営業だけは続けています。

最盛期は、飛ぶ鳥を落とす勢いで、お客様が近隣のみならず、他県からも訪れているような繁盛店でした。

その頃から在籍している社員にこう尋ねました。

「やはり、コロナの影響が大きかったのですか?」

すると驚くような返事が返ってきました。

「いやあ、それは拍車がかかっただけで、コロナ前からおかしくなっていたんです。

なにせ社長が社員のいうことを全然聞かないで、何事も独断で物事を進めてしまって、優秀な幹部が何人もいたのですが、次々に辞めてしまって。」

「イエスマンだけが残ったものだから、社員のやる気も最低になって。

実力のある人はいい時期に辞めたなって話が今でも出ますよ。」

今の社員たちは当然のことながら、給料も減額となり、今は半年毎に査定をされるそうです。

この社員はさらにこう続けました。

「夕方になるとお客様が行列を作っていた頃が懐かしいです。

若い人は仕事を覚えるとさっさと他に移ってしまいますしね。」

「私は歳も歳だし、夢や希望はもうありません。

何とか食える今で満足するしかありません。」

前は大きな水槽に、何種類もの魚が泳ぎ、お客様の前で板前が魚をさばく姿に歓声が上がっていましたが、水槽には魚の姿はなく、水も入っていません。

ホールサービスもワンオペ接客で行き届いていませんから、この店も果たして存続できるのだろうかと心配になってしまいました。

〈社長が社員のいうことを全然聞かない〉ということが話を聞いた後にずっと耳に残ってしまいました。

ワンマンはいつの時代もいいことはありませんね。

頑張りましょう。

ではまた。