石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その231
「今日は、家で夕飯食べるの?
アジの干物と牛肉、どっちがいい?」
「今日はウチゴハンです。
両方。
つまみでアジ、ご飯は牛肉。」
「どっちがいいかって聞いているのよ。
つまみはいろいろあるし。」
「君はどっちがいいの?」
「質問を質問で返さないで。」
「わかったよ、じゃあ、肉にしろよ。」
「はあ?」
「あっ、牛肉でお願いします。」
「はい、お肉ね。
あっ、そういえば、鰻もあったわ、どうする?」
「へっ、せっかく決めたのに。
最初から言ってよ~。」
「今、思い出したの、へへへへ。」
こんなことが我が家では、しょっちゅうですが、奥神様が相手では、仕方がありません。
なにせ用意していただくのですから、ありがたくいただいております。
ただ、お店でも知らないうちに似たようなことがお客様に起きていないでしょうか。
【お客様にはスムーズに対応せよ】
都心では、繁華街がにぎわいを取り戻しています。
暑さが半端ではないせいか、ショッピングモールやデパートは人で溢れんばかりの日が見られます。
中心部は開発されたビルに人が集中し、いかにも景気がよさそうです。
ただし、その影響を受けた周辺商店街や昔からの私鉄沿線の商店街では寂しさを漂わせている所もありますね。
恐らく、地方の街も同様でしょう。
「この暑さで、昼間は誰も歩いていないんですよ。
昼間の売上が伸びません。
夜も引きが早いから、客単価が落ち気味です。
ここら辺、空き物件も、ちらほら出始めましたよ。」
なんて声も聞こえてきています。
都心でも中心部から外れた街は同様です。
さてさてどうしたらよいのかと考えてしまいますが、まずは、目の前の仕事をブラッシュアップすることから始めようではありませんか。
なぜそうなのかというと、最近、実感として、飲食店の基本的レベルが下がっていると感じることが多いからです。
コロナ前と今では、飲食店の対応が明らかに悪くなっています。
いくつかの理由があるのでしょうが、明らかに効率化による弊害があるでしょう。
タブレットやモバイルオーダーの導入、ロボットの活用、無人レジの設置などが関係していると思われます。
それらの操作に関しての教育は必要なので行われていますが、お客様との向き合い方に関してはおろそかになっているのではないでしょうか。
先日、ある店でメニューを見ていると、女性店員から「ご注文は?」と促されました。
決めかねていたため「何がおすすめですか?」と尋ねてみると、彼女は固まってしまい、間があいてから、「全部美味しいですよ」という言葉が出てきました。
我々が教育する時に、「それは一番避けなければいけない言葉だよ」と教えることです。
“お客様は美味しいものを知りたいのではない、美味しいのは当たり前で、何を食べるかの、決め手が欲しいから尋ねている”ので、全部と答えると、お客様はまた迷わなければなりません。
おそらく、この女性スタッフはそのような教育を受けてはいないのでしょう。
「そうなんだね、じゃ、もう少し、待ってね」とメニューを見直して注文をしましたが、なんだか手間をかけさせた感が出て、早く決められなかった自分が悪いような気がしてしまいました。
こんな場面が増えているのですから、チャンスなのです。
DX化なんて無縁の店や、DX化を進めている店でもそのことでレベルが落ちているなら、高いレベルのお客様対応をスローガンにして、頭一つ抜け出そうではありませんか。
接客の差別化により、必ずや新規のお客様を掴むことができるはずですし、追加オーダーや単価の高いオーダーも売れるはずです。
もう一度、お客様対応を見直すことが大切ですね。
ではまた。