石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その234

「インバウンドの人たちに日本人は優しいって、評判がいいわね。」

「なんでも安いから、余計そう思うんだろう。

半額で食事ができて、チップもいらないのにサービスが良いから、感激するんだよ。」

「どうして、そういう、ひねくれた考え方するわけ?

皆さん、純粋にがんばっているんでしょ。」

「そうだけど・・・。

おいしい商品を提供して、愛想よくして気を遣っているのに、なかなか価格に反映させられないんだから、納得いかない。

外国人は5割高って張り紙したいもんだ。」

「あなたのお給料も5割高になるなら、それいいわね。

皆さんも楽になるなら賛成!」

「なるわけねーだろー。」


相変わらずの奥神様のことはおいといて、頑張らなければならない飲食店は、儲からなくともお客様を大切にして踏ん張っていますね。

サービスも世界に誇れるレベルが、落ちずに維持できているのは誇れることです。

 

【飲食業界のサービスは日本の誇りです】

新型コロナの感染流行が、ほぼ収束して、海外の方が続々日本にやってきています。

私の仕事も海外の方からのオファーが再開しました。

特に中国からの研修セミナーの依頼がきています。

中国では、店舗を増やすことが日本の外食産業が成長した時のように大変盛んです。

どうも彼らの経済界では1000店舗を超えれば一人前というような風潮があるようで、組織の作り方も日本の昭和のイケイケ企業を模範にしているような会社も多いようです。

今回も1000店舗達成記念の社員研修旅行の企業がやってきました。

実際にセミナーが始まる前には、大きな声で号令がかかり、合言葉・会社のテーマが唱和され、久しぶりに成長期の日本企業のスパルタ研修のような景色に相対して、少し懐かしくなりました。

彼らは、物見遊山ではなく、しっかり勉強に来ており、夜9時過ぎにならないと自由時間はないということで感心してしまいました。

今の日本なら辞退者が出そうですね。

(先日、日本の大手企業の幹部と話していたら、「会社主催の宴会や旅行は参加したくない。

参加しない分の自分の費用は現金でください」という若手がいたそうです。

いやはや。)

そんなセミナー参加者の皆さんは純粋な方が多く、質問も直球で聞いてきます。

先日の質問にこんなものがありました。

「日本に来てホントに驚きました。

どこの飲食店に行っても綺麗ですし、皆さん親切にしてくれます。

これは民族性ですか?それとも教育ですか?」というのです。

「皆さんの国ではそういうことはないのですか?」と聞き返したら、即答で「ありません」と返ってきました。

(どっと笑いも起きました)

本気で説明すると時間がかかるので、と前置きして「両方です。民族としては・・・」と5分ほどでまとめて答えました。

(日本でもこれからはヤバいという話はしませんでした)

つまり、彼らが質問したくなるほど、日本の飲食店の《おもてなし》は高度のサービスになっているということです。

私としてはこんな質問を受けることは誇らしく感じましたが、それと同時に、そんな業界で熾烈な競争の真っただ中にある仲間たちの状況を思うと、もう少しご褒美があってもいいのではないかなと思うのですが、競争ですから仕方がありません。

勝ち抜くしかないのです。

不安や懸念はいくつもありますが、世界一ともいわれる業界の担い手としてのプライドを胸に、明るい未来をイメージして、今を過ごしましょう。 


ではまた。