石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】その237

「おーい、また、お土産いただいたよ」

「あらぁ、美味しそうなパンね。

明日の朝食で食べましょう。

あたしはこれとこれ・・」

「明日の朝は、手抜きができてよかったな。」

「はぁ!?なんであなたって人をカチンとさせることしか言えないの」

「あ、明日の朝、君は楽だね」

「同じでしょう」

昭和の不適切代表の私は、どうも表現が奥神様の心をとがらせるようです。

明日は楽しみだねとか言えばよかったのでしょう。

さすがに”手抜き”はまずかったですかね。


ですが、そんなことが最近飲食店で・・・。

 

【人手不足が品質の低下の理由にはならない】

先日、仕事終わりに食事して帰ろうとなりました。

外は雨が降り、寒さもきつく、歩いて街の飲食店を探すのも億劫だったので、駅ビルの飲食店街に足を運びました。

レストランフロアを歩きながら、中華の店の前で足を止めました。

中を伺うと、7割ほど席は埋まっています。

ただ明らかにフロアの人員は不足しているのがわかります。

高校生ぐらいの男子が1人とベテランの女性が動き回っていました。

中に入ったものの、なかなか迎えに来ません。

高校生は入り口を見るそぶりもありません。

そのうちベテランが気づき、心無い「いらっしゃいませ」とともに席に案内されました。

早速、メニューを開き注文を選んでいると、ベテランがやってきたので、ビールとセット商品を注文しました。

私は一品料理と美味しそうな写真に惹かれた黒チャーハンのセットです。

ビールがすぐにやってきたので、乾杯しながら料理を待ちました。

しばらくして、料理が運ばれてきて、黒チャーハンを口に入場させたわけですが、「ま、まずい。なんじゃこりゃ」とおもわず、口に出てしますほどの仕上がりです。

べちゃべちゃの水分過多、あおりの香ばしさは遠くの彼方に飛んで行ってしまっています。

「食べれたもんじゃないぞ、これ」

同行者がすかさずベテランを呼び、状況を説明しました。

すると、ベテランは、イライラの混じった声で、「お客さん、美味しいチャーハンを食べたかったら、セットで頼んじゃダメなんですよ。

調理場は忙しい時間を考えてセットのチャーハンは半チャーハンなので、早めにあおって作り置きをして、ジャーに入れてあるんです。

だから、時間がたつとこうなるのは仕方がないんですよ。

単品なら、その時にあおるのですけどね」と。

ベテランの言葉は受け入れがたく、全身が固まってしまいました

“ふざけんなよ”の言葉を飲み込み、「単品にすればよかったね。

今度はそうしますよ」と返しておきましたが、今度は絶対ありません。

確かに、ピーク前にお得なセットは注文が増えるので、セットのチャーハンを作り置きする店は少なくありません。

しかし、量や時間をみて、品質を落とさない研究をして提供しています。

手抜きと言われないようにできるだけ受注時にあおり、ついでに多くあおって次に備え、時間がたてば味見をしてダメであれば提供しません。

皆工夫をしているのです。

この店は人手不足解消の効率だけで判断しているから、このようなことが起こるのです。

品質低下を店事情でお客様に納得してもらうような説明をすることも大きな問題です。

縁のないこの店に改善点を教えるいわれもありませんから、無難に納得したふりをしました。

話し終わりに彼女は「なんでしたら、新しい黒チャーハンを作り直しましょうか」とノタマイましたが、「いやいや、もういいです」と席を立ったのでした。


皆さんのお店ではこんなことはないでしょうが。

くれぐれも気をつけましょうね。 

ではまた。