第1回 『メニューブックの作成:留意点とちょっとしたアイディア』

販売促進活動、「略して販促(ハンソク)」と言ったりしますが、はたしてどのくらいの飲食店が深く考えて、この「ハンソク」に取り組んでいるでしょうか。
永きにわたり何もしていない、なんの脈絡もなくチラシを作成したり、DMを送付したりするというような店のなんと多いことでしょうか!
販促とは目的を明確にして行うもので、決して一時の来店を促すためのものではありません。また、対費用効果を考慮したものでなければ「無駄」なものでしかないのです。販促は、レギュラーで行うものとポイントで行うもの、そしてお客様に直接的にアプローチするものと間接的に訴えるものなどがあります。このコーナーでは、それらの事例を交えながら分かり易く解説していきます。

第1回目は、売り物である「商品」を最もアピールしなければならない「メニューブック」の作成における、「留意点とちょっとしたアイディア」についてお話しさせていただきます。

低コストでもできるパワフル・メニューブック!
メニューブックは、お客様が必ず手に取り眺めてくれる、お店の商品(料理・飲み物)案内です。「さあ、今日は何を食べようか」―メニューを開くとき、お客様の心は弾んでいるはず。お店側のメッセージボードとして、自慢の商品・おすすめ商品を最大限にアピールするチャンスです。お客様に喜ばれ、尚かつ低コストでもできるメニューブック作製のヒントを3つご紹介しましょう!

★ヒント1 : メニューの基本はお店の心!
売上を伸ばすためのメニューブックは、きれいに作ればよいと言うわけではありません。自店のコンセプトをしっかり把握し、それを十分に表現することが何よりも重要なポイント。また、高級・中級・大衆のどのランクに自店が位置しているのかを見定め、お店の格に合わせたデザインを考えることが重要です。
例えば、最近はカラー写真入りの豪華なものが増えていますが、必ずしも写真がふんだんに載ったものが最上とは限りません。高級感を出すために、あえて写真を使わずイラストで料理を表現したり、書体の持つ印象を生かした文字だけのメニューにしたりする場合もあります。
全体のイメージが決定したら、次に大切なことは「何が売りたいのか」を絞り込んで、それをアピールできるデザインにすること。どんな形態であり共通するキーポイントは、お客様にとって、"見やすく、選びやすく、楽しさが感じられること"の3点です。

★ヒント2 : "売りたいもの"を主張しよう
自店の名物料理や自慢の商品など、売りたいものは強力にアピールしましょう。一般的に、強調方法としては次の5点があります。①~⑤の中から、自店のメニューブックにふさわしい表現方法を選んで活用しましょう。
① 写真を載せる。
② 文字に工夫をする。(商品や部門別に、色や書体で変化をつける)
③ 売りたいものから順番に並べる。(お客様の視線は、左上→左下→右上→右下と動くことを考慮する)
④ ネーミングを工夫する。(ユニークさ・おもしろさ・こだわりを表現する)
⑤ 商品にコメントを付け加える。(調理法や食材のこだわりを伝える)

★ヒント3 : 低コストの実力派メニューブック
小規模店の場合、「メニューブックの部数が少ないから、カラー印刷はとても無理」と、あきらめているところも多いのではないでしょうか。しかし、少し手間と時間をかければ、写真入りメニューブックも夢ではありません。また、最近は、パソコンとカラープリンターを利用して、比較的低価格でメニューブックを製作する例も増えてきています。
一方、印刷主流の時代を逆手にとって、手書きメニューの温かみ、おもしろさを強調するのもひとつの手。お店のスタッフや友人に、漫画の上手な人、書の心得のある人、レタリングのできる人はいませんか?技術料を払ってユニークな手書きメニューをつくれば、お店の個性を引き立て、お客様にアピールすることができるでしょう。