KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.114

 

4月に入り、去年の今頃を思い出しました。

1回目の緊急事態宣言が4月7日に発令、それでも夏ごろには収まるだろうと思っていましたが、さにあらず、もう1年がたってしまいました。

新型コロナはさらに猛威を振るい、ついには「まん延防止等重点措置」が適用されるに至っています。

飲食店はモロに影響を受け、「心が折れそうになる」という声も聞かれます。

顧問店の社長たちも、頭を抱えている方が多くなってきました。

そんな状況の中、「でもワクチン接種も始まりましたし、日本は、世界の他の国に比べればいいほうですよ、まったく営業ができないわけではありませんから。

変わらずご来店してくださるお客様に感謝しながら精一杯働きますよ。

辛抱辛抱。」

そう言って笑って打ち合わせしてくださる社長に会うとこちらも励まされる感じで頭が下がります。

そんな社長は、今人一倍働いています。

そして、細かく普段の経費を見直しながら節約に励んでいます。

買い物はスタッフに頼まず、自分で値段を見ながらできるだけ安価なものを探し、仕込みも誰よりも早く店に足を運び、できるだけ無駄が出ないように心掛け、ホールサービスの接客も、できるときは積極的にお客様とコミュニケーションをとっているそうです。

感染防止対策も、安心してご利用いただくために、様々な衛生面対策を行っていて、行く度に、アクリル板の設置が増えていたり、空気清浄機が設置されていたりと、念入りに対策を講じています。

「身体の疲れはありますが、これまでの営業のチェックのつもりでやっています。

先生に教わったおかげでここまでやってこれたのですから、無駄にしないためにもがんばります。

それに政府も支援してはくれてるのですから、絶対生き残ってやりますよ。」

続けて彼はこうも言ってくれました。

「自分が現場をこれだけやるのは久しぶりですが、見えなくなっていたことが、今回たくさん見えてきて、コロナが終わったら前よりもっといい店になると思うんです。」

なんと頼もしいことでしょう。

こみあげてくるものを抑えられない自分でした。

その社長とは、今、営業時間の有効利用を話し合っています。

店を閉めていた午後の時間に思い切ったお得商品で過ごしていただく企画、Wi-Fiがあるのでテレワークのビジネスマンにワークスペースを提供する企画、体力が許すのであれば朝定食も考えてみようか、ランチタイムの延長やディナー前倒しなどなど、考えればいろいろ出てくるものです。

Eコマースにも手を広げる案も出ました。

経営を委縮させていない取り組みは、必ず新たな道を見出せます。

もうすぐ、もうすぐコロナは終わるのです。

なんとしても生き残ってまたお客様の笑顔を見ましょう。

ホント、たいへんですが今月も健康で頑張りましょう。