KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』  Vol.136

 

こんにちは。

2月を迎えて、暖かい日も出てきました。

新型コロナ感染の流行も2類から5類に変わることも5月8日に決定したようです。

春が待ち遠しいですね。

業界もそれに伴い明るい兆しがみえてくれば良いなと思うこの頃ですが、簡単に考えられないのが現状のようです。

それどころか今年こそ正念場がやってきたと言えるかもしれません。

それを物語るような経験を今回視察したお店で感じてしまいました。

夕方、スタッフと二人たまには街中華でも入ってみようと、スマホで近辺の評判の良い店を検索して向かいました。

その店の前に立ち自動ドアのボタンを押しましたが、開きません。

看板を見ると営業時間3分前です。

そっと手で押し開けると、中にいた男性が気がつき、時計をチラ見した後、うなずきながら手招きで、「いいよ」と案内され、テーブルに座ることができました。

まあ、街中華のありがちな客対応だと、さほど気にはなりません。

見回すと彼だけです。

暫く待たされた後、先ほどの男性がオーダーを取りに来ました。

その時、初めて気がついたのですが、まったく日本語が通じません。

不安になりながら注文したのですが、案の定、出来上がってきた料理はまったく頼んだものと違う料理です。

「おいおい、えらいとこに入ってしまったなぁ」。

二人で顔を見合わせながら苦笑いです。

そのうち、2組3組とお客様が入ってきましたが、マイペースの彼が対応できるわけがありません。

どうなるんだろう、と見ている中、店の方らしい女性の方が帰ってきました。 

テキパキと仕事にかかり、交通整理があっという間に行われ、正常に動き出しました。

「おぉ~、ベテランはさすがだなあ」と思わず声が出てしまったのでした。

その後は、評判の店らしく、次から次にお客様がやってきましたが、女性は厨房を手伝いホールを走り回り、無難にこなしていきます。

我々の注文もその後はスムーズです。

味も良く気分が良くなったので思わず「大変ですねえ、がんばっていますねえ」と声を掛けました。

これがいけなかった。彼女の演説が延々と始まったのです。

「コロナ前にスゴク調子が良かったから、支店を出したのよ。

家も建て替えて、ここに移転して、お金1億8千万円も借りて、そしたらコロナでボロボロ。

返済がきつくて支店は閉めることになって、従業員も減らして・・・。」

店主の愚痴は止まることなく、日本に来て30年の苦労話も入り、時折、他のお客様の対応をしながら、戻っては、また大変話が続きました。

仕事柄、このような話は興味深く聞いていましたが、普通のお客だったら辟易したことでしょう。

ただ、この店のような状況を抱えた店はかなりあるのだろうなと、心配は増幅したのでした。

帰り際、「でも、やるしかないわ。

がんばりますよ」と話される“踏ん張りママ”の言葉に救われ、「うん、また来るね」と言って店を後にしたのでした。

ホント、たいへんですが頑張りましょう。

お客様の笑顔を創りましょう。

ではまた。