コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2025年12月6日

Vol.169 予約サイト全盛の時代に問われる“現場対応力”

こんにちは!

11月になりました。

街の色づきが深まり、そろそろ温かい鍋や熱燗が恋しい季節になってきましたね。

現場の皆様も忘年会シーズンに向けて準備で忙しくなる頃でしょうか。


さて今回は、うちの事務所の外部所属の部下と行った、とある居酒屋での出来事です。


部下がグルメサイトの予約ページから「個室で喫煙可・アルコール全品半額」という、なんとも魅力的なプランを見つけて予約してくれました。

外観は趣のある和風づくりで、「これは当たりかもな」と私も期待をふくらませて入店。


迎えてくれたのは中国人の女性スタッフ。

「いらっしゃいませ!」の声とともに、私たちの反応を待つこともなくズンズンと店内へ。

「あの、予約しているんですけど」と声をかけると、「あ、そう」とだけ言って確認もせずに先を歩きます。

なんだかイヤな予感…。

案の定、案内されたのは普通のテーブル席。


「ちょっと、予約は個室ですよ」とスマホ画面を見せて伝えると、「この時間は地下の個室フロアはやっていません(キッパリ)」とのこと。

ああ、やっぱり。

予約って何のためにあるんだろうと心の中でつぶやきながら、「そうなの?わかりました。

ところで、ここはタバコは吸えるんですよね?」と聞いてみました。


「ここは禁煙です(キッパリ)」

「いやいや、予約は“喫煙可”って書いてあるよ」


「わかりません(キッパリ)」


外国人スタッフばかりで、日本語が通じないというより、説明が通じない。

店長を呼ぼうかと迷っていると、「タバコはそこで吸えます。

喫煙室があります(キッパリ)」と。


もはや交渉の余地なし。隣の部下の顔はすでにブンむくれ状態。

私は「わかった、もういいよ、ここで」と諦めの笑顔を浮かべました。


それでもせめて半額ドリンクだけでも、と気を取り直して「お酒は全品半額なのは間違いないのね?」と尋ねると、「あ、あるよ!」と元気よく返事。

少し安心したのも束の間、彼女が持ってきたドリンクメニューを見て「このメニューは半額です(満面の笑顔)」。


なるほど、“全品”ではなく“この中の数品”という意味だったようです。


とりあえず「まずビール!」と頼むと、「ビールはこれにはありません(キッパリ)」。


出ました!5度目の“キッパリ”。

この潔さ、もはや清々しい。私は力なく「はいはい、わかりました」と頷くしかありませんでした。


思わず「この予約サイト、間違ってるから店長か本部に言ったほうがいいよ」と伝えると、彼女は満面の笑顔で「はい!」と。

おそらく何も伝わっていないであろう明るい返事に、私も思わず笑ってしまいました。


今の時代、予約サイトやデジタル管理に頼ることが多くなりましたが、結局のところ、お客様の満足を決めるのは“現場対応力”です。

システムが便利でも、それを運用するのは人。

お客様に「ちゃんと伝わっている」という安心を与えられなければ、信頼にはつながりません。


お店選びの決め手が「予約情報」になっている今だからこそ、現場の“確認力”と“応対力”がより大切になっています。

私たちも改めて、「当たり前を当たり前に確認する」ことの重みを忘れずにいたいものですね。


さあ今月も、お客様の笑顔と、信頼を積み重ねていきましょう!

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