2006年5月9日
「チームワーク」と「コンビネーション」(3)
今回からは「コンビネーション」についてのお話をしてまいります。
「チームワーク」を根付かせるのと平行してチームメイト全員に理解させる必要のある事項が「コンビネーション」です。そもそも「コンビネーション」とはどのようなことを指すのでしょうか。
「コンビネーションの定義」
自分の責任範囲内の業務が発生していないときに他のポジションの物理的に難しい仕事を一時的にフォローすること。
営業中、ホールにおいて責任範囲を各自決めてオペレーションをしていても、時には一部のポジションに業務が偏る場合がどうしてもあります。例えば、お客様の入店が連続したときなどは特にそうです。まず、当然のごとくお客様の案内と誘導が重なり、案内係が一人や二人ではまかなえません。案内だけではありません。お客様はほぼ同時に入店されているので、オーダリングやドリンク、料理提供なども重なっていきます。料理を食べ終える時間も重なるので、中間バッシングや中間サービス、お帰りになる時間もほぼ重なってバッシングテーブルの山・・・などということもよくあることです。もちろん、同時に入店されていなくても上記の作業やサービスが重なることもあります。そんな場合には、どうしてもチームワークの考え方だけではお客様にご迷惑をかけずに効率良くオペレーションを行うことが困難になります。このように一部のポジションで重なった作業やサービスを他のポジションのスタッフがフォローしなくてはいけない状況が発生した場合、コンビネーションは不可欠となります。
コンビネーションを行うにあたってはいくつか注意しなくてはいけないことがあります。まずは、各スタッフが自身の責任範囲と他の責任範囲の状況を把握している必要があります。もちろん、自身の責任範囲は当然ですが、他のポジションの状況も把握できていないと、何をどのようにフォローすべきかが分かりません。そして次に、定義にもありますが、自身の責任範囲の業務を優先しながら行うことです。自身のポジションの業務をないがしろにしてまで他のフォローをしていたのでは、ポジションを設定している意味がなくなってしまいます。ただし、清掃や補充など、サードワーク的な業務は後回しにします。
コンビネーションの具体的状況の例をあげると、各ポジションのスタッフが入口を5秒に一度見る習慣をつけていれば、ご案内のフォローを行うことができます。ご案内がすんだらただちにポジションのスタッフへ引継ぎ自分のポジションに戻ります。あとは、料理のディッシュアップや他のポジションのお客様の退店が重なっている場合には、自身のポジションの各テーブルのオーダリングやサービスを行ないながら、料理提供やバッシングをフォローします。フォローをしながら、自身のポジションの各テーブルの状況は常に気を配らなくてはなりません。
サッカーでFWの人がバックのデイフェンスに参加してばかりいて前線にいなければ、シュートチャンスが発生したときに逃してしまいます。もちろん、DFがシュートをしようと前線ばかりに位置取りしていたらカウンター攻撃を受けたときに簡単に相手に点を入れられてしまうでしょう。強いサッカーチームでは、各選手が状況状況で的確に判断し、自分のポジション、いわばチームワークを優先にしながら、ピンポイントで他のポジションのフォローをしているのです。
飲食店のホールオペレーションも全く同様です。お客様の満足という目的を共有しながら、チームワークとコンビネーションをしっかりと行っているお店は、私の知る限りほぼ間違いなく繁盛しています。
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