コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2025年8月12日

Vol.166 省力化が進む現場を見て

こんにちは!

8月になりましたね。

この時期に気温が40℃を超えた地域が出るなど、想像もしなかった夏に突入しましたが、さすがに日中は体にこたえます。

プロ野球の選手でさえ熱中症で降板なんてニュースを聞くと、毎日うだる暑さの中を厨房で働いている皆様を想像しホントに頭が下がります。

相変わらず食材の高騰は止まりませんし、最低時給を全国平均1,100円超えの審議に入ったなんて聞くと、舌打ちしてしまいます。

さて、今回はそんな状況を効率化で乗り切ろうとしている大手飲食チェーンの中華レストランにスタッフ二人で足を運んだ際のお話です。

夕刻5時、まだお客様がまばらな店内に足を踏み入れたわけですが、従業員の姿はありません。

目のつく場所に大きく〈どうぞお好きな席をお選びください〉と書いてあります。

前は「いらっしゃいませ、ご案内いたします」の声が聞こえたものですが、それも省略です。

もちろん案内もありませんから、少しウロウロして席に着いたわけですが、さすがに気がついた従業員さんが、遠くから「ご注文はタブレットでお願いしまぁ~す」の声が。

(ハイハイ、わかりましたよ)と心で答えた私ですが、不思議と嫌な感情は生まれませんでした。

たぶん(安い単価の店だし、効率重視で〈おもてなし〉なんか期待していません)という、思いがあるからでしょうね。

一緒のスタッフも慣れたものでタブレットを使い、毎度のことながらビールを注文、つまみになりそうな商品を4品頼みました。

ビールがやってきましたが持ってきたのは、あのかわいいロボットでした。

(おいおい、こりゃ人間と接することないんじゃないか)と思っていると、従業員が不意に現れました。

「どうぞ、こちらをお使いください」と渡されたのは〈プラチナカード5%off 〉というものでした。

「へっ!」と顔を上げると、スタッフが「私が頼んだんです、タブレットの注文画面に【60歳からのご優待】プラチナパスポートとあったので」とのこと。

「えっ、自己申告で証明も要らないの?」

「はい、頼めばくれるみたいです」

はぁ~、説明や手続きも省略なのね。

確かに証明書見せろとか、名前記入しろとか、やっていたら、人が関わって効率悪いもんね。

いやいや、省力化も加速しているのです。

安いうえに割引もその場でできる、こりゃ飲むしかないねと、気が大きくなった、あほオヤジは気がついたら酔っぱらっていました。

さあ会計、とレジに向かいましたが、ここでも無人です。

5%offのカードを読み取ってもらい画面の指示どおりに、手持ちの電子マネーで支払い完了です。

ストレスはほとんど感じませんでした。

二人で8000円程の会計でしたから、このチェーンの客単価が1300円ぐらいと考えると、我々はいいお客さんです。

「俺たちいい客だよな、いい客だよな」と、誰も実感させてくれないので、酔っぱらいのたわごとのようにスタッフに話しかける私でした。

覚えている人間の気配はプラチナカードを持ってきてくれた時と、見回りついでに「お下げします」のバッシングの時だけでした。

私たち顧問店仲間に求められているのはコレではありませんね。

ホント、大変ですが頑張りましょう。

お客様の笑顔を創りましょう。

石田義昭『飲食店繁盛ダネ!』

“繁盛仕掛け人”石田義昭が飲食店開店の秘訣から売上増進の策および、日本各地の販売促進事例をわかりやすく解説、紹介します。

井上奈々子の『食の豆々知識』

飲食店における重要なメニューの考え方、作成方法、そして商品開発の極意など、繁盛につながるヒントを余すところなく紹介します。

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

実践コンサルタントが各地を回りまさに“事件は現場で起きている”を心に目を光らせ、見つけた問題点を鋭く指摘、改善を容赦なく進言、普段の行動の様子を紹介します。

飲食店経営のあらゆる
お悩み、相談、ご質問をお受けします