コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2025年9月10日

Vol.167 デジタル時代にこそ人の気配を感じさせる工夫を

こんにちは!9月になりましたね。

朝夕は少しだけ涼しくなったとはいえ、厨房の暑さはまだまだ真夏並み。

現場で汗を流す皆様、本当にお疲れさまです。

さて今回は、たまたま、立ち寄った大手中華チェーンでの一幕をお話ししましょう。

遅い時間、お腹も空いたのでふらりと入店。

せっかくなのでデジタルクーポンを使おうと、接客スタッフにスマホを見せました。

ところが相手はクーポンの扱いがわからず、キョトンとした顔をしています。

「少々お待ちください」と別のスタッフ登場。

彼が「はい、大丈夫です」と。

そのまま立ち去ろうとしたので、呼び止めて使い方まで説明してもらって、その通りにタブレットを操作して注文しました。

その後、ビールも追加。

こちらはスムーズに到着。

ひと口飲んで「やれやれ」と落ち着いたのも束の間、肝心のクーポン対象料理がなかなか出てこない。

お腹はどんどん減っていく。

仕方なくチャイムを押すと、今度はベテランらしきスタッフが現れました。

事情を説明すると厨房へ確認に。

そして戻ってきた彼女の一言が「そのようなオーダーは入っていません。

私が今お受けしますので」思わず「えっ?!」と声が出ました。

先ほどの「はい、大丈夫です」は一体なんだったのか。

私のクーポンは、厨房へ届く途中でデジタルの大海原に沈んでしまったのでしょうか。

ようやく料理が届いた時には、気持ちはすっかり冷め気味。

けれども腹は減っているのでしっかり完食しましたが…。

それにしても感じたのは、効率化のためのシステムが逆に不信感を生んでしまう怖さです。

タブレットやクーポンアプリは便利ですが、それがきちんと機能していないと、逆にお客様にわずらわしさやストレスを感じさせてしまいます。

その対応が悪いと、さらに不信感を与えてしまいますね。

最後にお客様を安心させるのは人のひと言。

「承りました」の確認や、ちょっとしたフォローがあるだけで印象はガラリと変わるはずです。

飲食店にとって効率化は避けられません。

人手不足の時代ですから当然の流れです。

でも「効率化」と「接客放棄」はイコールではない。

むしろ新しい仕組みを導入するほど、そこに人の温度を添えることが大切になります。

今回の件も、もし最初のスタッフが「ただいま確認しますね」と笑顔で言ってくれていたら、「頑張っているな」と応援したくなったかもしれません。

その後のスタッフも、丁寧に操作方法まで説明してくれたら、それほど不信感は感じなかったでしょう。

結局のところお客様は「安心して任せられるかどうか」を見ているのです。

皆様に求められているのは、まさにこの部分。

便利さの裏にちゃんと人の気配を感じさせる工夫です。

料理が遅れたら、「申し訳ございません」のひと言があるだけで、待たされたという、イライラ、不満は解消されるのではないでしょうか。

クーポン1枚で右往左往した私ですが、帰り道にふと「ネタを提供してくれたのだから、ありがたいか」と苦笑いしました。

これも現場の学びです。

ホント、大変ですが頑張りましょう。

お客様の笑顔を創りましょう。

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