コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2026年2月12日

Vol.172 見て見ぬふりの先にあるもの

早いもので、もう2月を迎えてしまいました。


毎日寒いですね。

地方によっては、記録的な雪の影響で「今日は営業できませんでした」という報告も届いています。

自然相手とはいえ、心が折れそうになることもあるでしょう。

それでも何とか踏ん張って励んでいただきたいと思っています。


季節は着実に春に向かっています。

さて今月も、現場で「こんなことある?」と思わされる出来事がありました。


休日のその日、「休みに悪いね、メシ奢るからさ」とスタッフと二人で、軽い打ち合わせを兼ねてレストランに入りました。


案内されたテーブルで、タブレットにてオーダーを始めた、その時です。


「グー・・・グォー・・・」

「え!?」


ふと横を見ると、隣のテーブルの巨体の男性が、うつむいたまま豪快ないびきをかいているではありませんか。

どう見ても熟睡。目の前には食べかけの料理とわずかに残ったビール。

スタッフと顔を見合わせ、思わず苦笑いしてしまいました。


打ち合わせを始めたものの、いびきが気になって仕方がない。

だんだん話題は仕事から逸れ、「これ、店が注意しないとダメだよな」「正直、かなり迷惑ですよね」と、いつの間にか“店の対応”についての話になってしまいました。


その矢先です。

突然、その巨体の彼がガバッと立ち上がり、千鳥足で歩き始めました。

酔っているのか、眠気なのか、方向感覚も怪しい。

そして次の瞬間――


なんと、こちらに向かって倒れかかってきたのです。

さすがにビックリしました。


危ないところでしたが接触することなく、体勢を立て直した彼は、そのままトイレに向かっていきました。

「まぁ、仕方ないか・・・」と、一安心したのも束の間。


戻ってきた彼は、再び着席し、また寝始めたのです。

いびきも相変わらず、堂々たるもの。

さすがにこれは放っておけません。


ボタンで店員さんを呼び、声を潜めて「寝ているのはダメでしょう。

注意してください」と、こちらからお願いする形になってしまいました。


本来、これはお客様が言い出すことなのでしょうか。

そもそも、こういう場合、お店はどう対応すべきなのか。

考えさせられました。


もちろん、飲み過ぎてしまうお客様はどの店にもいます。

眠くなることもあるでしょう。

でも「寝かせたまま」「周囲に迷惑をかけたまま」放置するのは、店としての責任放棄です。

注意の仕方は難しいですが、だからといって何もしないのは違います。


私たち飲食店は、「そのお客様一人」ではなく、「その場にいる全員」の時間と空間を預かっています。

誰か一人の行動が、周囲のお客様の満足度を大きく下げてしまうこともある。

だからこそ、適切な対応が必要となります。


丁寧に、「体調はいかがですか」「少しお水をお持ちしましょうか」と声を掛けるだけでも違うはずです。

場合によっては、お会計を促す判断も必要でしょう。


見て見ぬふりは、一番楽な対応です。

でもそれは、他のお客様を見捨てることにもなります。


寒さも厳しく、気持ちも沈みがちな季節ですが、こういう時こそ“現場の判断力”が店の価値を守ります。


皆さんの店では、同じ場面が起きたらどう対応しますか?


ホント大変ですが、お客様の笑顔を頑張って創りましょう。

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