コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2026年6月11日

Vol.175 『「注文はQRで」の先に、私たちが求めているもの

5月になりました。

過ごしやすい季節のはずなのに、今年は夏日が多く、「ああ、気候が変わってきたなぁ」と実感しますね。


そしてGW。最近つくづく思うのは、日本人は本当に休みが多くなったなあ、ということです。

昭和世代の私は、こんな大型連休になると、逆にどう過ごしていいのか戸惑ったりします。

こんなことを言ったら、飲食店の皆様には怒られるかもしれませんが。


人手不足の中、GWの大混雑で目が回るような毎日を送られた現場の皆様、本当にお疲れ様でした。

笑顔で乗り切った方々には頭が下がります。


少し一息ついておられる頃かもしれませんが、これからは暑さとの戦いも始まります。

どうか体調には十分気を付けてお励みください。

さて今回は、そんなGWの真っ只中に訪れた店で感じたことを書いてみたいと思います。


仕事の打ち合わせの後、いつものスタッフと「ちょっと一杯やろうか」とビルのテナント飲食店へ入りました。

適当に選んだ店だったのですが、入口で少し戸惑いました。


レジ前で立ち止まっても、誰もいない。

「いらっしゃいませ」の声も聞こえない。


少し不安になりながら待っていると、ようやく一人のスタッフが現れ、開口一番、「二人ですか?」

「はい」と答えると、「どうぞ」と。


それだけ言って、さっさと歩き始めます。

笑顔も歓迎の空気もありません。


案内された席で告げられたのは、「こちらどうぞ、ご注文はQRで」以上。


その後、我々はすべてをQRコードで済ませました。

注文も追加も呼び出しも。


店員さんと交わした言葉は、最後の会計時の「カードで」だけだったのです。


別に問題があったわけではありません。

料理も普通、提供もスムーズ。

間違いもありません。

でも……なんだか寂しい。


もちろん事情はわかります。

利益が出にくい中での人件費高騰。深刻な人手不足。

少人数オペレーションで店を回すには、こうならざるを得ないのでしょう。


理解はしています。

でも昭和の私は、心の中でつい叫んでしまいました。


「ウーバーイーツでいいんじゃない!?」


飲食店の価値とは、本来“その場で食べる理由”にあるはずです。


出来立ての料理、店の空気、人とのやり取り、ちょっとした会話や気遣い。

つまり“体験”です。ところが、その体験部分をどんどん削ってしまうと、「店で食べる意味」が薄れてしまいます。


もし将来、デリバリーやテイクアウトの消費税がゼロ、イートインだけ10%、なんて時代が来たらどうなるでしょう。


「じゃあ、家でいいか。」そう考える人が増えるかもしれません。


だからこそ、これからの飲食店は「効率化」と「付加価値」のバランスがますます重要になります。


QR注文も悪くありません。

人手不足の現場では必要な仕組みです。


でも、例えば、最初に一言、「ありがとうございます。

ごゆっくりどうぞ。」


これがあるだけで、空気は変わります。

たった数秒の接客が、「機械的な店」になるか、「また来たい店」になるかを分けるのです。


便利さだけでは、お客様の記憶には残りません。

“人がいる価値”をどう残すか。


GW明けの店で、そんなことを考えさせられた夜でした。


ホント大変ですが、お客様の笑顔を頑張って創りましょう。

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