2026年8月13日
その266 効率化に進むことは流れだが、本質を忘れてはいけない

「久しぶりに、ホントいい店、ありがとうね。」
先日は私の誕生日。
奥神様がお祝いに連れて行ってくれたレストランでの帰り道です。
「普段行けない店、選んだのよ。」
「大満足だよ。
美味しかったし、サービス精神が溢れていたね。」
「特別な日でなくても、また、行きたいわね。」
「普段使いはできないなぁ。」
「はぁ!何、言っているの。
あなたが頑張ればいいでしょ。
二倍働きなさいよ!」
「やっぱり、オレか・・・」と、奥神様から、またまたハッパをかけられたのはいつものことですが、ホントにいい店で、ホントに、また行きたいと思ったのでした。
料理はまさに研究とアイデアで素晴らしかったのですが、それだけではありませんでした。
これからの飲食店に参考になりそうです・・・。
【効率化に進むことは流れだが、本質を忘れてはいけない】
本当に素晴らしい店でした。決して安い店ではありませんが、それでも、「また行きたい」と心から思えたのです。
料理はもちろん見事でした。
旬の食材を使った意外性のある組み合わせ、思わず笑顔になる盛り付け、一皿ごとに感じる料理人の研究心と遊び心。
でも、それだけではなかったのです。
店に入り、案内されて席に着いた瞬間、私は不思議と「ほっ」としました。
QRコードを読み込む雰囲気はありません。
もちろんタブレット注文もありません。
スタッフの方が自然な笑顔で迎え、メニューを広げながら料理の説明をしてくれる。
高級店だから当然と言えば当然なのですが、その「人の温もり」がなんとも心地良かったのです。
料理が運ばれるたびに、説明は長すぎず短すぎず。
こちらが質問すると、「この野菜は○○さんという農家さんが作っていて……」と、生産者の想いまで話してくださる。
時にはちょっとしたユーモアも交えながら。帰る頃には、スタッフ全員の笑顔が印象に残っていました。
そして会計後…。
「本日はありがとうございました」と、小さなお菓子を持ってきてくださったのは、ホールスタッフではなく厨房のシェフでした。
その一言とともに店の外まで見送りに来てくださる姿を見て、私は改めて思いました。
「この店は料理を売っているのではない。」
「幸せな時間を売っているんだ」と。
ここ数年、飲食業界ではモバイルオーダー、セルフレジなど、「効率化」が進んでいます。
これらは、人手不足の中では必要不可欠な投資なので、私も積極的に導入を提案していましたが、最近は、効率化は競争力ではなく、これからは”参加資格”だと考えるようになりました。
どのお店も同じようなシステムを導入すれば、その差は次第になくなります。
その時、最後に選ばれる理由になるのは何でしょうか。
「料理 × 空間 × 人 = また来たい店」
料理が美味しい。
これはもちろん大切です。
でも、お客様の記憶に残るのは…。
「いらっしゃいませ」の笑顔。
お冷のおかわりに気づく気配り。
常連様の名前を自然に呼ぶ一言。
帰り際の「お気をつけて」の声掛け。
どれも特別なお金はかかりません。
しかし、それを自然にできる店は決して多くありません。
私は、よくこんなお話をします。
「料理は真似できます。
でも、その店の空気は真似できません。」
この”空気”こそが、繁盛店最大のブランドなのです。
AIはメニューを考えることもできます。
DXは注文も会計もしてくれます。
しかし、「また来たい。」
そう思わせる空気だけは、人にしか創れません。
だからこそ、これからの時代は効率化を進めながらも、人が人らしく働ける時間を増やすことが大切です。
機械に任せる仕事は機械へ。
人にしかできない仕事は人へ。
その使い分けが、これからの繁盛店をつくるのではないでしょうか。
便利さを追い求める時代だからこそ、人の温もりが最大の差別化になります。
お客様が「また来たい」と思い出すのは、料理だけではありません。
その店で過ごした”心地よい時間”そのものなのです。
では、また。
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