2025年12月10日
VOl.170 忙しい時期こそ大切な、人の配置とフォロー

こんにちは!
12月になりました。
今年もいよいよラストスパート。
忘年会に向けて現場が慌ただしさを増す季節ですね。
どうか身体に気をつけて乗り切ってください。
さて今回は、仕事の合間に入った
“蕎麦と丼のセットが評判”というチェーン店での出来事をお話します。
最近、勢いよく店舗を増やしており、以前から気になっていたお店です。
入り口には現金専用の券売機。
「いまどき現金のみかぁ」と一瞬思いましたが、まあ仕方ない。
迷った末、やはり定番の「かつ丼セット」を購入。
1,000円そこそこでこの内容なら安い!
しかも“店長おすすめ”と書かれていれば期待も高まります。
席に着くと、接客も丁寧で好印象。
ほどなく提供された蕎麦とカツ丼を見て、思わず「へー!」と声が出そうになりました。
蕎麦はしっかりとした麺で、つゆの香りも悪くない。
そしてカツ丼。
推しメニューだけあって、肉の厚みは堂々の2センチ。
卵のとじ加減もほどよい感じです。
これはマニュアルが相当練られているはず。
気持ちよく食べ、店をあとにしたのでした。
ところが……。
それから2週間後。
仕事が遅くなり、部下と「サクッと夕食を」となったとき、
私は胸を張ってこう言いました。
「いい店あるよ、行こう!」
前回の満足感があったので、自信満々の再訪です。
券売機を見ると、「ビール 200円」の文字。
安っ!!
即購入。
前回同様カツ丼セットを買って席へ。
今回の担当は若いお兄ちゃん2人。
丁寧ですが、どこかぎこちない。
新人かなと思いつつ、小ジョッキのビール(200円だもの)を飲みながら料理を待ちました。
「お待たせしました!!」
ややロボット気味の提供ですが、丁寧ではあります。
ですが、問題はここからでした。
まずは、お楽しみの分厚いカツにガブリ。
「うまい!」
が、切り口を見ると、あれまあピンク色。
いや、結構赤い。
最近“ピンクのトンカツ”を売りにする無菌豚のお店もありますが、
ここはそういう表示はありません。
仕方なくカウンター越しにいる彼に、
箸で持ち上げたカツの断面を見せながら一言。
「これ、ちょっと赤いよ!」
すると彼は、予想だにしない行動に出ました。
「え、申し訳ありません」
そう言って、両手を差し出したのです。
えっ、“手に乗せろ”ってこと!?
思わずその手にちょこんと載せた私ですが、
心の中では「皿出そうよ」と突っ込んでいました。
すぐに「新しいカツ丼お作りします」と下がっていき、
その対応自体は悪くありません。
ただ、皿か器で受け取ってほしかった。
やがて新しいカツ丼が登場した頃には、蕎麦も終盤。
まあ仕方ない。
しかし今度は揚げすぎで肉が固い。
卵のとじ方も硬くなり、前回の完成度はどこへやら……。
「丁寧にやりすぎたのね」と苦笑いしつつ、
部下の視線が痛い。
まさかの“推薦店で赤っ恥”です。
前回のベテランコンビなら、
こんなことにはならなかっただろうに。
残念ながら、この店は「昼に来るべし」と
私は心に刻みました。
もちろんマニュアルはあるのでしょう。
しかし、新人が慣れるまでは、
あるいは一定レベルを越えるまで、
必ずベテランが寄り添う仕組みが必要です。
丁寧にやろうとする気持ちは伝わってくるだけに、
なおのこと“現場の支え”が不可欠だと痛感しました。
皆様の店舗でも、どうか
「新人+ベテラン」の目配りを忘れずに。
忙しい時期こそ、
人の配置とフォローが品質を守る鍵になります。
さあ、今年最後の一ヶ月。
お客様に“安心と満足”を提供しながら、
気持ちよく締めくくりましょう!
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