コラム

石田義昭の【飲食店 繁盛ダネ!】

2026年10月23日

その267 飲食店の美味しさは料理だけでは決まらない!接客と居心地が満足度を左右する

「久しぶりのランチだったのに、美味しいんだか美味しくないんだか、

わからなかったわ!」


「どうしたの?

いいお店で楽しみにしていたじゃない。」


「ひとり、自分の話ばかりする人がいて、皆、途中から退屈していたんだけど、本人は全く意に介さないのよ。

料理を味わうどころか、話を聞くのに疲れちゃって。

あ~、何食べたんだか。」


「食事って一緒に食べる人によって美味しさが違うって、よくわかったわ。」


「オレと食べる時はいつも美味しくてよかったな。」

「それは、どうかしら?」

「おい…」という、いつものたわいもない会話でしたが、奥神様の言うことは、あながち、的外れではなく…。


同じ料理でも、誰と食べるか、どんな場所で食べるか、その時の気分はどうだったかによって、「美味しい」と感じたり、そうでもなかったりすることがあります。


つまり、料理の美味しさは、舌だけで決まるものではないということです。

【美味しさは総合的に判断される、居心地感の高いレベルを考えよう】


今回は、先日、顧問先の社長と一緒に行った寿司店の話です。


「あの店、前回、旨かったから、またあそこにしましょう」ということで、再訪しました。


入店すると、威勢のいい「いらっしゃいませ!」の後、「カウンター、テーブル、どちらにしますか?」と聞かれました。

今回もできれば板長の前に座りたかったのですが、先客がいました。


なので、今回は若い職人さんの前に座りました。

ところが、これがいけなかった。


仏頂面で愛想がない。

話かけても生返事、握りを頼んでもなかなか出てこない。

注文を忘れる。


「なんだ、コイツ…。」

思わず、こちらもイライラしてきます。

そして、前回食べて感動した「げそ焼握り。」

これは絶対にもう一度食べようと、社長と二人で注文しました。


ところが、出されたものを食べてみると、前回とはまるで違う。

まずいわけではありません。

でも、「うまい!」という感動がない。

食材が特別変わったわけでもない、料理そのものの品質が、極端に変わったとも考えにくい。

なのに、美味しく感じない。

何も言わず、店を出ました。


その帰り道。

「なんだか前と違って美味しくなかったように感じたけど」

すると社長も、「ですよね。

やはり、板長の前に座るべきですね。」

二人とも、同じ結論でした。


そうです、美味しく感じなかったのは、料理ではなく、人だったのです。

若い職人さんと板長との違いが、表情、返事、料理を出すタイミング、こちらへの気配りなどなど、その一つ一つが、影響していたのです。

これは飲食店にとって非常に重要なことです。

お客様は、料理だけを食べに来ているわけではありません。


「美味しい料理を食べながら、楽しい時間を過ごしたい」

これが本当の目的ではないでしょうか。


料理の評価が高くても、接客や居心地が悪ければ、総合的な満足度は良くはなりません。

逆に、料理がそれなりでも、接客や空間が良ければ、「良い店だった。また来よう」となることも。


私は、飲食店の「美味しさ」は、料理×空間×人という総合で考える必要があると思っています。


特に重要なのが、「居心地感」です。

照明が明る過ぎないか。スタッフの私語が聞こえてこないか。

注文しづらい雰囲気になっていないか。

お客様を放置していないか。スタッフの表情はどうか。


そして何より、「この店にいると気持ちがいい」

そう思っていただけるかどうか。


責任者の方には、ぜひ一度、お客様として自分の店に座ってみていただきたいと思います。


厨房からどんな音が聞こえるか。

スタッフはどんな顔をしているか。

料理の出るタイミングは。お客様同士の会話はしやすいか。

そして、自分がお金を払って帰る時、「また来たい」と思えるか。


経営者は客席に座るだけで、今まで見えていなかったことが見えてくるはずです。


美味しさは、舌だけで決まりません。

その料理を食べる環境、その時の気持ち、そして接してくれる人。

それらすべてが合わさって、お客様の「美味しかった」という記憶になります。


「料理は美味しいはずなのに、なぜかお客様が戻ってこない」


もし、そんな悩みがあるなら、料理以外のところを一度見直してみてはいかがでしょうか。


もしかすると、答えは厨房ではなく、客席にあるのかもしれません。

では、また。

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