コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2026年7月9日

Vol.177 常連客を「片思い」にさせていませんか?

7月になりました。

梅雨はまだ続いていますが、早くも季節外れの台風が次から次にやってきて、マスコミが騒ぐもので、飲食店にも影響が出て、頭の痛い方も多いでしょうね。


これからは、夏の暑さを気にしながらの営業になりますが、飲食店にとっては、食中毒対策や暑さ対策など、毎年のこととはいえ大変な時期を頑張らねばなりません。


どうか体調管理には十分気をつけていただきたいと思います。

さて今回は、仕事帰りにスタッフと立ち寄ったチェーン焼肉店で感じたことです。


この店には、もう数十回は通っています。

価格はリーズナブル。

料理も安定して美味しい。

駅前で便利。

仕事帰りには本当に使い勝手の良い店です。


ところが、「近くに同じような店ができたら、どちらに行きますか?」と聞かれたら、私は迷わず新しい店と答えると思います。

「なんでだろう?」と考えてみると、理由がいくつも見つかりました。


まず第一に、この店で一度も「いらっしゃいませ!」と元気に迎えられた記憶がありません。

もちろんスタッフはいます。

でも、店に入ると、それぞれが自分の仕事に夢中。


「あ、来たね」そんな空気は伝わってきますが、「ようこそ」は聞こえてきません。


何十回も通っているうちに、「今日こそ聞こえるかな」と密かに期待する自分がいることに気づきました。

帰りも、レジでは「ありがとうございました」と言ってレシートを渡してくれます。

ですが店を出る時には、誰からも声がありません。


私は顧問先でよく「出迎え三分、見送り七分ですよ」とお話ししています。

帰る時の印象ほど、お客様の記憶に残るものはありません。


この店を見るたびに、本部へ電話して教えてあげたくなるのですが・・・。(笑)


さらに寂しいことがあります。

これだけ通っているのに、誰一人として私を覚えている様子がないのです。


「あ、こんにちは。」

「いつもありがとうございます。」

「今日は暑いですね。」


たった一言でいいんです。


以前も書きましたが、「あ、」には魔法があります。

「あ、どうも。」

この一言には、「あなたを覚えていますよ」というメッセージが込められているのです。


私は勝手に顔なじみになったつもりでしたが、どうやら片思いだったようです。(笑)


そして最後に、毎回、気になることがあります。

それはトイレ。


ペーパーが散らかり、床は濡れたまま。

三回行けば、二回はそんな状態です。


「忙しいんだろうな」そう理解しようとは思います。

でも、お客様は店の裏事情ではなく、目の前の現実で判断します。


料理がおいしくても、接客が悪くなくても、最後にトイレを見て「残念だな」と思われたら、それまで積み上げた印象が少しずつ、いいえ、一気に崩れてしまいます。


今回あらためて感じたのは、「お客様は料理だけで店を選び続けるわけではない」ということです。


歓迎されること。覚えてもらうこと。

気持ちよく送り出してもらうこと。

そして、気持ちよくトイレを使えること。

そんな小さな積み重ねが、「また来よう」という気持ちを育てていくのです。


今年も厳しい夏になります。

忙しさの中では、つい基本がおろそかになります。


だからこそ、「他人のふり見て我が身を見直せ」。


私自身も改めてそう感じた一日でした。

皆さんの店はこんなことはないでしょうが、忙しく人手不足の過酷な夏ですから、お気をつけてください。

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