コラム

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

2026年10月23日

Vol.180 飲食店の接客力を高める「目配り・気配り・心配り」

暦の上では秋ですが、まだまだ暑い日が続いていますね。


酷暑の中、食材の管理、スタッフの体調管理、そして何より暑さの中での営業と本当にお疲れのことと思います。

どうぞ夏の疲れを残さないよう、ご自愛ください。


さて今回も、仕事の合間のランチで入ったお店で、ちょっと気になったことがありました。


訪れたのは、業績も好調で、最近ますます勢いを感じる中華料理のチェーン店です。


店に入ると、「いらっしゃいませ!お好きな席へどうぞ!」と元気な声が飛んできます。


とはいえ、何度も聞いたことのある、いわゆる「マニュアル誘導」です。(笑)


案内された席にはタブレット端末。

餃子と天津丼を入力すると、ほどなく料理が運ばれてきました。

提供時間も問題なし。

料理もいつも通り。

さすが、成績の良いチェーン店です。


ところが、食事をしていて隣のテーブルが気になりました。

そこには、食べ終わった皿が一枚、テーブルの端に寄せられていたのです。

たぶん、そのお客様自身が「食べ終わった皿があるのは邪魔だな」と思って、端に寄せたのでしょう。


何度もスタッフが、そのテーブルの横を通りました。

皆、テキパキと、実に忙しそうに動いています。

しかし……見ない。

いや、正確に言えば「気づいていない」のです。


私は昔、先輩からサービス業について、「お客様をよく見ろ。

お客様の様子を気にしろ。

何をしてほしいのかを察知して、先回りして動け。」

そして、「目配り・気配り・心配り」これがサービスの基本だと教わりました。


この店では、「料理を運ぶ」という仕事については、しっかり教育されているのでしょう。

でも、「お客様を見る」という教育までは受けていなのでしょう。

その後も、お客様が帰るまで、結局その皿はそこに残ったままでした。


効率を重視するチェーン店としては、それで成り立っているのでしょう。

大手チェーンには、大手チェーンの強さがあります。

仕入れ、商品開発、価格、広告、システム、教育……。

私たちが同じ土俵で戦ったら、なかなか勝てません。


では、何で勝負するのか。

私は、やっぱり「人」だと思うのです。


例えば、お客様がメニューを見ながら困っていたら、「何かお探しですか?」と声を掛ける。

小さなお子様が落ち着かない様子なら、取り皿やスプーンを先に用意する。

常連さんが入ってきたら、「いつもありがとうございます!」と迎える。

「今日も美味しかったよ」と声を掛けられたら、「ありがとうございます、またお待ちしています!」と笑顔で送り出す。


どれも、小さな事ですが、こういう小さな積み重ねが、お客様の心に残るのです。


私はこれまで何度も「目配り・気配り・心配り」という言葉を使ってきましたが、これは、人手不足の時代だからこそ、より重要になる武器なのではないでしょうか。


一人ひとりのお客様をずっと見ているのは難しいでしょう。

だからこそ、スタッフ全員に「料理を運ぶ」「皿を下げる」だけではなく、「お客様を見ることも仕事だ」と教えてほしいのです。


「今、何を求めているのか?」

「困っていることはないか?」

「もう一皿、必要ではないか?」

そんな視点を持って店内を歩くだけで、サービスの質は変わります。


皆さんのお店に、すでにある「人」を磨くことが武器になるのです。


「うちの店は、お客様をちゃんと見ているか?」

この機会に、スタッフの皆さんと一度話してみてはいかがでしょう。


そして、「料理を出す店」から「お客様を見ている店」へ。

この小さな違いが、これからの飲食店の大きな差になっていく。私はそんな気がしています。

石田義昭『飲食店繁盛ダネ!』

“繁盛仕掛け人”石田義昭が飲食店開店の秘訣から売上増進の策および、日本各地の販売促進事例をわかりやすく解説、紹介します。

井上奈々子の『食の豆々知識』

飲食店における重要なメニューの考え方、作成方法、そして商品開発の極意など、繁盛につながるヒントを余すところなく紹介します。

KAZU石田の『飲食店現場の眼-小さな気づき-』

実践コンサルタントが各地を回りまさに“事件は現場で起きている”を心に目を光らせ、見つけた問題点を鋭く指摘、改善を容赦なく進言、普段の行動の様子を紹介します。

飲食店経営のあらゆる
お悩み、相談、ご質問をお受けします